魔法無効化スキルのせいで魔法が使えない無能扱いされてきたご令嬢が、第二皇子に嫁ぐこととなりまして。

何代

プロローグ

 目に映る景色は、緑広がる片田舎から石造りの町並みに移り変わろうとしていた。

 「王族のお嫁に入るなんて不安しかなかったけれど、お姉ちゃんがいるなら心強いわ」

 馬車に揺られながら、隣に座る妹が無邪気な笑顔を見せる。

 私は妹の容貌を今一度、しげしげと眺めながら「そうね」とだけ返事をした。

 ───こしのあるプラチナブロンドに、澄んだ青い瞳。肌は透き通りそうなほど白く、しかしその頬には人間味を感じる血の色が柔らかくにじんでいる。

 誰が見ても、彼女は”美少女”であった。

 ───そして、さらには……。

 「あら、お姉ちゃんのドレス。ほつれているわ」

 妹──リンドールがついっと指を振ると、私の着ているドレスはたちまちに治された。

 「ふふ、お姉ちゃんったら、らしくない日もあるのね。今日は大切な日なのに」

 ───不格好なドレスを選んだのよ。

 喉まで出かかった言葉を飲み込み、代わりに愛想笑いと決まり文句を口にした。

 「ありがとう。私、魔法が使えないから、リンヅがいて助かったわ」

 リンドールが、くすくす、と鈴の音のような笑い声を立てる。この国で、彼女ほど腕の立つ魔術師は王族を除いていない。そもそも、私たちの家系は“そういう家”なのだ。

 ───“私”を除き。

 「ああ、見て。お姉ちゃん!お城が見えてきたわ」

 窓から身を乗り出したリンドールが歓声をあげる。渋々、私も馬車の窓から前方を覗く。

 ───さて、何日かしら。

 をみとめて、私はゆっくりと目を閉じた。

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魔法無効化スキルのせいで魔法が使えない無能扱いされてきたご令嬢が、第二皇子に嫁ぐこととなりまして。 何代 @24Bllue

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