第7話

手紙の件で頭がいっぱいになりすぎ練習の力が入らない。頭の中では、集中しなきゃと思ってるんだが困ったな、どうしても彼女のことが頭にちらついてしまう。


そんな精神状況で大会が上手くいくはずなく、今回の大会では平凡な結果で終わってしまった。だが、音楽の世界で生きていくためには、足を止めるわけにはいかない。彼女のことに関しては連絡をまとう


そうして時が過ぎ冬休みになる前の終業式も無事終わり外に雪がちらついていたので天気が落ち着くまでと教室に一人残っていたら


「ねー何で君は一人でいるの?ほらみんなと帰らないの?みんなと帰ったら寂しくないよ?」


俺は、その言葉が聞こえた方を振り向く。その言葉はあの子が昔似たようなこといったセリフじゃないか。


「やほっ久しぶり。なんとか帰ってきたよ、ほら足もあるから幽霊とかじゃないから、長い間連絡出来なくてごめんね。手術は成功したんだけど日常せいごふっ」俺は、彼女の話がいい終わる前につい抱きしめてしまった。


「もう、私は逃げたりしないから大丈夫だよ、君がこんなに感情的になるなんてはじめて知ったよ。そうだ手紙は、見てくれたんだよね?改めてあなたのことが好きです。私と付き合ってください」


俺の返事はもちろん決まっている。

「これからは、君と一緒にいさせてくれ。君を離したくない。君のいない日々は俺の中にはないみたいだ」


「はい、離さないでくださいね。それと私ヴァイオリンの腕落ちてないか心配で一緒に見てもらえたら、ついでにデュオとして組んでもらえたら嬉しいです。私独学でやってきたので正統派の弾き方とか憧れちゃって」あの演奏は独学だったのか、ある意味すごいなそれで人を魅了することができるんだから。


「なら墨にも君の弾き方教えてくれないか?僕は君の演奏好きなんだ」


そうやって今まで会えなかった分の事を語り始めたら外の雪がやんでいてそれに気づいたのはずいぶん後だった。




そんな昔を思い出していたら順番が近づきスタッフから呼ばれる。今からやるのは以前失敗したプロへの登竜門である大会のリベンジだ。今度こそ僕はやりきってみせる。そして舞台袖に向かおうと思った時彼女から電話がくる。


「パパ本番前にごめんね、応援したくて。それとパパまたあの手紙持っていったでしょ?もー恥ずかしいからだめだよ。誰かに見られたらどうするの?もうすぐ本当にパパになるんだからしっかりしてよね。勇気なら私があげるから。過去の私に負けないんだから」うん、過去の君からも今の君からも勇気もらえたし頑張れそうだ。これから生まれてくる子どもの為にも今日の、大会リベンジだ


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この手紙があるから僕は、今の君と過ごせる ケンタン @kentan

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