第5話
「どこの子か知らないけど家の子は今がとても大事な大事な時期なの。こんな、なにも知らないような底辺の集まりとは違うのよ。」周りの子供を見渡しながら声を荒げる母親に近くにいた大人もなにがあったのかと近づき様子を伺い始めた。そんな様子に、気づいたのか母は僕の腕を引っ張り公園から逃げるように去っていった。
あの男のこ固まって怯えてた、きっと今のままじゃだめだよ。私が助けてあげなきゃ。ママに話したらいい方法おしえてくれるかな?絶対にあのおばさんから助けてあげるから待っててね。
「ねー君私のこと覚えてるかな?」本番前の待合室のイスに座っていたら声をかけられる。顔をあげて誰か確認しようと思ったが記憶の中から彼女みたいな子は思い出せなかった。
「ごめん、どっかで一緒に練習したとかかな?」
「ん~~ 一緒に練習はしてないね、まっ覚えてないのもしょうがないね、でも今日は私のこと覚えてもらうから、私の演奏ちゃんと感じてね、またね」
僕の演奏は終った。楽譜通り間違わずしっかり、演奏できたと思う。さっき話しかけてきた女の子の番がきた。僕はどんな演奏をするのか気になり彼女を見ると一瞬だが目が合った気がした。彼女の演奏する曲も僕と同じものだった。これなら違いがよく分かる。僕はこの曲を完璧にしたくて何十回、何百回と聞いて頭の中に染み付いている。
彼女の演奏は、予想外すぎるものだった。同じ曲のはずなのに全く違う。リズムも強弱も楽譜と全く違うはずなのに、1つの曲として出来上がっている。聞いている間に完全に彼女に、引き込まれてしまっていた
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