36なる物語 ベルトルス王2

 キラ街とは、ベルトルス王が住む天使の王都のことを示す。


 本当の街の名前はキラキラ・スカイ・シティと言い、天使たちは、略して「キラ街」と呼んでいた。


 その頃のベルトルス王は、大変真面目だった。それから神に忠実で、苦しむ人のことも、心から思いやる天使の王だった。


 だが、彼は頭が固く、ド真面目すぎた。その真っすぐな真面目さが、後に罪を犯すこととなっていってしまう。


 ベルトルス王は、宮殿の中、天使たちに人を救うための支持を与え続け、とても忙しい毎日を送っていた。


 そして、その頃のベルトルスは、幸せで平和な永遠の時の中で過ごしていた。


 キラ街で、天使たちは、幸せな永遠の時を過ごしていた。


 だが、時々魔界の者が入ってきて、天使を殺したり、攻撃したりすることがあった。



「チンチン・アクア・レインボー・フラッシュ!」

 ある時、目つきの悪い幼児の天使が、幼児にしてはデカいチンポを振り回し、天使たちの祈りの場である神殿全体に、上空から小便を引っかけまくっていた。


 この神殿は、天使たちが地上の人や亜人たちのために、幸せを祈る神殿で、大変神聖な場所である。


「ゲヘヘヘヘッ!!」

 目つきの悪い幼児の天使は、下品な笑い声と共に、そんな聖域に小便をばらまき続けている。

 奴は、天使の形をした悪魔だ! キラ街の天使たちは、瞬時にしてそれを見抜いた。


「キャーーーーーーー! 魔界の悪魔が来たーーーーーーーーー!!」

「天使の姿をした悪魔が来たーーーーーーーーーっ!!」

「しっ……神聖な神殿が汚されるーーーーーーーーっ!!」

 天使たちは、怯え、おろおろするばかりだった。


 だが、天使たちにも、「希望の光」が現れる。

「そんなチンチクリンのおチンポ天使なんて、あたしがやっつけてあげるわっ!!」

 いきなり、天使たちが群れるその中から、1人の天使の少女が飛び出てきたのだ。


 緑色の長い髪を持つ17歳ほどのその天使は、美しい美少女の天使だった。

「変身! プランツ・エア・ベルデ・エンジェル!!」

 何といきなりその美少女天使が、魔法少女姿へと変身する。


「ベルデ・エンジェル参上! ベルデ・エンジェルにおまかせ♡」

 パチリとウィンクするその天使たちに、

「「「「「あっ! ベルトルス王の『趣味』で作られた魔法少女だあぁぁぁっ!!!」」」」」

 天使たちが、叫んだ。

 その瞬間、ベルトルス王の『趣味』が明確にされたのだった。


 後にこれが、ベルティアの「スター・エンジェル」という魔法少女へと引き継がれてゆく。


 ベルトルスの『趣味』で作られたその魔法少女天使が、小便をばらまき続ける天使へと向かってゆく。


「あんたなんて、キャベツに変えて、サラダにして食べてやるんだからっ! ベルデ・エンジェル・シャワー!!」

 魔法少女エンジェルの両手から、緑色の光が瞬時にして現れ、デカいチンポの幼児天使めがけて注がれる。


「おっと、危ねぇっ!」

 悪魔は、一瞬でその光を避ける。


「姉ちゃん、遅いね! そんなんじゃあ、オレは倒せねぇぜっ!」

「!?」

 悪魔の言葉に、少女天使が真っ青になる。


「……あたしの攻撃が通用しない……?」

「ヘン! オレ様に勝ちたいんだったら、チンチン見せてみな! オレ様よかデカいチンポ見せれば、一目置いてやるぜ! ゲヘヘヘヘヘッ!!」


「いやだぁーーーーーーっ!!」

 少女天使におチンポなんてものがついているはずもなく、魔法少女天使は、顔を真っ赤にさせた。


「隙ありっ! チンチン・ビーム!!」

 幼子天使悪魔が、魔法少女天使目掛けて真っすぐに小便を放出する。


「いやぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~っ!!」

 またたく間に、少女天使は、小便でびしょぬれになってしまった。


 彼女は、地面へ降り立つと、泣き崩れ、座り込む。


「やめろ!」

 そこに、凛とした声が響き渡った。

「「「「「おおっ! ベルトルス王のご降臨だ!!」」」」」

 その声に、天使たちの目が輝いた。ベルトルス王の右手には、金色に輝く大きな剣が握られている。


「ヘン! 誰かと思えば、超チビッコのガキ天使かよ! オレ様に勝ちたいんだったら、裾をまくってチンコ出しやがれっ! どっちがデカいか、勝負しようや!」

 幼児天使悪魔が、チンコをゆらゆらとゆらしながら、お下劣なことを言う。


 そんな悪魔のささやきなんて聞く耳を持たず、ベルトルス王は、瞬時にしてそこから移動した。


 あまりにも速すぎて、天使たちには、ベルトルス王の体を追うことができないほどだ。


 それに対し、幼子天使悪魔も、瞬時に移動する。

 ベルトルス王は、幼子悪魔を切り落とさんと、剣をふるうが、悪魔もなかなか速度が速く、隙を見せない。


 ベルトルス王は、剣を持ち、悪魔を追いかけ続けた。

 

 だが、この幼児悪魔、とてつもなく動きが速く、剣はかすりもしない。ならば……!!

 動きながら、男としてのベルトルスは、とある言葉を思いつく。


「かなりミニミニサイズの、ちっさいチンポだな! そんなミニミニ・ソーセージを人前でさらして、恥ずかしくないのかっ!?」

「な……何だと!?」

 自分のモノを卑下され、一瞬悪魔に焦りが見え、速度が落ちた。1秒もかからない瞬間だった。


 だが、ベルトルスは、その一瞬を見逃さず、金色の剣で、悪魔のチンポを切り裂いたのだ。


「うわぁぁぁぁ~~~~~~っ! オレのチンチンが、チンチンが、……チンチンがぁ~~~~~~っ!!」

 悪魔の動きが止まったその瞬間、ベルトルス王は、金色の剣で悪魔を一刀両断したのだった。


「さすが、ベルトルス王っ!!」

 やられて、ふにゃりとしてしまっていた先ほどの魔法少女天使は、尊敬のまなざしで、ベルトルス王を見つめた。

 頬が赤く染まっている。


「「「「「「ベルトルス王、ばんざーーーーーーいっ!!」」」」」

 天使たちの間から、歓声があがる。


 ベルトルス王は、天使たちに、人の願いを叶える指示を与えるだけではなかった。


 それプラス、魔界へやってきた悪い魔族や悪魔をやっつける役割も持っていたのだ。


 だが、12歳ほどの子供の外見のため、それでも天使たちに、軽くみられることがあった。


 そのため、性格もドSと化したり、また特攻服を着て、改造バイクでキラ街をぶっ飛ばしたりもしていたのである。


 そんなベルトルス王を、天使たちは、何だかんだ言っても尊敬していたのだった。


 そこで、ゲオンは正気に返る。


「……って、お前が天界で暮らしていた頃の日常の光景はよく分かった。……でも、チンチン丸出しの幼児天使悪魔とか、そういうことよりも、俺は、お前が、なぜ罪深いと日々言っているのか、それが知りたい!」

 ゲオンは、ベルトルスの方を向く。


「……あまり知られたくなくてな……。つい、関係のない日常の思い出を流しちまった。ゲオン。お前とは結婚までした仲だ。また、俺の意識をお前に流し、その時のことを伝えよう!」

 ベルトルスは、苦い顔をした。


 自分の罪の物語を思い出すことは、本当に苦しい……!! だが、ずっと時間を共にしてきたゲオンには、伝えなければな!


 ベルトルスは意を決すると、再びゲオンの体へ触れ、自分の記憶を流していったのであった。



 




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