第178話 いつの間にか
「モォォォォォォォォッ!!」
「うんうん、力が漲っているねぇ! ……でもッ!!」
「モ……ォッ……!」
「よし、まずは1体! ……さあっ、お次は誰かな!?」
「モォッ! モォォォォォォォォォォッ!!」
「モモォッ!」
「元気があってよろしい! そ~れッ!!」
「ォォゥ……ッ……?」
「モ……モォ……」
「さあ、さあ! どんどんおいでッ!!」
「モ……モォォォッ!」
「君! 怖気付いちゃいかんよ? セイッ!!」
「モ……ッ……」
「な、なあ……あれってミノタウロス……だよな?」
「ああ、間違いなくミノタウロスだ……ついでにいうと、上位種のな……」
「なんで……なんであんな簡単にスパッスパッ行けるんだよ……ザコモンスターとはわけが違うんだぞ……」
「ま、まあね……ノクト様はドラゴンですら斬ってしまわれたお方だから……」
「ふむ……あんな姿を見せ付けられてしまうと……ドラゴンを討伐したという話も納得だよ……」
「その話……初めて聞いたときは、ホラだろって思ってたんだよなぁ……」
「正直、俺もだよ……」
「おい、お前ら……おしゃべりばっかしてると給料泥棒っていわれてしまうぞ?」
「そうだな……ノクト様にばかり戦わせてないで、お前らもしっかり戦わんとな!」
「「「は、はいッ!!」」」
「とはいえ……初めてノクト様とモンスターの間引き任務に当たる者は、いつもこんな感じでスタートすることになってしまうんだよなぁ……」
「そもそも論として、ミノタウロスの集落を掃討するって任務がイカンよ……」
「だなぁ……ノクト様のテンションが上がり過ぎてしまうからね……」
「おっと……我々も無駄口を叩いている場合ではなかったな……」
「そうだった……さぁて、お仕事お仕事……」
「では、我も……いざ!」
というわけで僕は今、領地を巡りながらモンスターの間引き任務に当たっている。
加えて、2人だけど専属の部下まで付けてもらって、副王都から一緒だ。
それから、道案内的な意味も含めて、訪れた先でも領兵を預けられて間引き任務を遂行しているって感じ。
まあ、やってること自体は、クヨウさんを探しながらモンスターの集落を潰して回っていたのと変わらないね……
ただ、あのときは冒険者としてだったけど、今は王国騎士として活動しているっていうのが違いといえば違いかな?
それで、このモンスターの間引きって活動だけど……ある程度領地経営をしっかりしているところですら微妙に手が回っていなかったりするのに……クヨウさんの粛清対象に選定されるような領地だとね……思いっきり放置されまくりだったんだよ……
しかも、そこの領主一族だけではなく、仕えていた素行のよろしくない兵も一緒にクヨウさんは粛清してしまったからね……単純に人手不足だったりもするわけだ……
というわけで、王国全体の立て直しの一環として、僕みたいな戦闘タイプの人間が派遣されて来ているってわけだね。
たぶん、そうせずにあっちこっちの領地をほったらかしにしていると……モンスター共に街や村が侵食されていって、僕ら王国民の支配領域がどんどん少なくなっていってしまうだろうからね……
しかも、モンスターの問題だけではなく、他国からの侵略も警戒しないといけないしさ……
そこで、ファーガレモス王国はまだまだ強いんだぞってところを見せておくためにも、こうやって僕らが精力的に活動しているわけだ。
そうして、おそらくあっちこっちの領地に入り込んでいる他国のスパイたちが僕たちのことを見てくれているだろうからね……存分に見て、本国にファーガレモス王国を攻めるのはマズいって報告してくれたまえって感じ。
「よぉ~し、みんな! もう動いてるミノタウロスはいないね? それじゃあ、お待ちかねの……回収タイムだ!! そ~れ! お肉! お肉!!」
「……相変わらず……この瞬間、ノクト様は最高に嬉しそうだよな……」
「ああ、まったくだ……」
「ほら、みんなも一緒に! お肉! お肉!!」
「「「お肉……お肉……」」」
「なんだい! みんな声が小さいよ!! ほら! もっとお腹から声を出して!! お肉! お肉!!」
「「「お肉! お肉!!」」」
「うん! いいよ! その調子!! よっしゃ! どんどん行くよ!! お肉! お肉!!」
「「「お肉! お肉!!」」」
こうして、幸せいっぱいのお肉回収タイムを満喫する。
ああ、この回収したお肉だけど、基本的には領地の運営のために役立てられることになる。
でも、だからといって今回任務に携わっているみんなが全くお肉を口にできないってわけでもなく、ボーナスとして一部を分配される。
その辺はね……当然だよね!
そして、街に戻ったら……ミノタウロスのお肉でバーベキューも予定しているのさ!!
「さすが……ミート卿……」
「なるほど、これがウワサのミート卿というわけか……」
「他領の奴から聞いたときは『なんだそりゃ……』って思ってたんだけど……マジだった……」
「ぶっちゃけ……戦闘時より、今のほうが怖いって思うんだよね……」
「ま、まあ……ミート卿は肉に関しては何よりもガチだから……」
ちなみに、爵位を得てからしばらくして、いつの間にか「ミート卿」と呼ばれるようになっていた……
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