第153話 知っていた!?
『おぉっ、ノクトさん! 目を覚まされたようですね?』
「……ゴージュさん! お久しぶりです!!」
……って、あれ?
僕って、オーク族の中でもルクルゴさんの言葉しか理解できなかったよな?
今、普通にゴージュさんの言葉が理解できちゃったけど……なんで?
う~ん、思い当たることといえば……
あっ! そういえば、クヨウさんにオークの因子っていうのを刻まれたんだっけ……
もしかした、そのオークの因子っていうのが影響しているのかもしれないね……断定はできないけど、それぐらいしか思い浮かばないし……
それと、レンカさんはどうやってゴージュさんたちと意思疎通をこなしたのだろうか?
いや、レンカさんはオーク族の言葉を聞いて理解することはできていたと思うんだけど、話すまではできていなかったと思うんだよね……
「あの、レンカさん、一つ気になったのですが……ゴージュさんたちオーク族の言葉は理解できていたのだろうとは思いますけど、レンカさんの意思はどうやって伝えたのですか?」
「ん? ああ、それは単純に私が頑張っただけだな」
「頑張った……だけ?」
『コンナ、フウニ、ガンバッタ』
「す、凄い! 僕が聞いても理解できる!!」
「まあ、私たち人間族にとってオーク族の言葉は発音が難しいので、どうしても片言にならざるを得なかったがな……」
「いえいえ! 片言でもなんでも、そんなふうに喋れるだけ凄過ぎます!!」
『そうですね、私が聞いてもしっかり理解できますし、何より人間族の方が我々の言葉を話すことができることにとても驚かされましたよ』
『フタリ、トモ、アリガトウ』
「おおっ! 凄い、凄い!!」
『ええ、とても凄いです……そして、オーク族の言葉を話していないノクトさんの言葉だけはそのまま理解できるのが私としては不思議です……きっとルクルゴ様も……こんな感じだったのでしょうね……』
そうだ……こんな気楽になんてしていられない……
ルクルゴさんのことを話さなければならないんだった……
もしかしたら、既にレンカさんが話しているかもしれないけど……改めて僕の口から……
だって、ルクルゴさんは、従者になるといってまで僕と一緒に行動してくれたんだからね……
「あの、ゴージュさん……その……」
『ええ、分かっております……ルクルゴ様がお亡くなりになったという話をノクトさんはされようとしているのでしょう?』
「……ッ!! そ、そうです……ルクルゴさんは……僕なんかを……守るために……」
あのときのことを思い出すと……再び目から涙が溢れてくる……
『ルクルゴ様に口止めされていたこともあって、ノクトさんたちが初めてサットワーズにいらっしゃったときは話すことができませんでしたが……実のところ、ルクルゴ様は自らの運命を知っておられました』
「えっ! 自らの運命を……知っていた!? そ、それは、どういうこと……ですか?」
『はい……ルクルゴ様の運命は、長老によって予言されていたのです……』
「予言……!!」
「なるほどな……」
『そのため、予言の子を守って命を落とすとあらかじめ告げられていたルクルゴ様は……最初からそのことを覚悟してノクトさんたちと御同行されたのです……』
「最初から覚悟してって……なんでそんなことを……僕のことなんか放っておけば! ルクルゴさんは助かったんでしょ!?」
「……ひょっとすると……ノクト君を守らなかった場合のことも予言されていたのでは?」
「えぇっ! 僕を守らなかった場合のことも予言されていた!? そんなわけッ……!!」
『はい……その場合のことも予言されておりました』
「……ッ!?」
『予言の子が守られず命を落とした場合、サットワーズ……いえ、我々に限らず、多くの種族が滅ぼされるといわれていたのです……』
「そ、そんな……」
ルクルゴさん、あなたって方は……
「そうか……姉上は王国にとって害になると判断した貴族たちを滅ぼしたあと、続けてモンスターたちも滅ぼすつもりだったのか……あの杖があれば、おそらくどうとでもできたのだろうしな……」
「……杖? ああ、クヨウさんが持っていた……そして、モンスターを召喚するのに使っていた杖のことですよね? そういえばあれ、どうなったんですか?」
「実は私が目を覚ましたのも、ここに運ばれてきたあとのことだったのだ……それで、ゴージュたちが見たところ、付近にそのような杖は見当たらなかったそうだ……」
「え? レンカさんもここで目を覚ましたのですか?」
「ああ、そのときには私が展開した防壁魔法も解けていたらしくてな……あのままだと、私もノクト君もどうなっていたか……まあ、辺り一面まっさらに吹き飛んでいたらしいから、モンスターにしろ盗賊にしろ、そんなところにわざわざ来るような者がどれだけいたかは分からんがな……」
「なるほど、そうだったんですね……となると、あの杖はドラゴンの自爆によって消し飛んでしまったのかもしれませんね?」
「うむ……そうだといいのだが……」
「そっか……モンスターを召喚できる杖となれば、悪い人の手に渡ったらマズいですもんね?」
「ああ、そのとおりだ……とはいえ、あの杖を使うにはかなりの魔力が必要だろうからな……特に魔力を持たない者が不用意に使おうとすれば、魔力を吸われ過ぎて命に関わるだろう……」
「それは……恐ろしいですね……」
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