第70話 そのまま倒しながら進んだほうが効率的
「よし! そろそろ出発しようか!!」
「はいっ! 気力全開で行きましょう!!」
というわけで朝食を終えて、これからオークの集落掃討に向かう……ついにって感じだね!
さぁ~て、ウワサのオークジェネラル、期待……というと変かもしれないが、その強さに興味が湧いてくるのも正直なところ。
そんなことを思いつつ宿屋を出て、街からも出る。
そして、冒険者ギルドで教えてもらったオークの集落があるという方向に歩みを進める。
「……ふむ、この辺もモンスターが少なくないようだ」
「確かに、そうみたいですね……」
レンカさんは魔力探知で周囲の状況を把握しているのだろう。
そして僕は、念入りに気配を探ることで、モンスターのいる位置を感じ取っている。
「ふふっ、ノクト君の周囲の気配を探る能力……勘の鋭さともいえるだろうか、とても素晴らしいよ」
「えっ、そうですか?」
「ああ、そこまで正確に読み取れる者など、なかなかいないさ」
「そういってもらえると、嬉しいです」
まあ、ジギムが「訓練だ! 訓練だ!!」ってうるさかったし……それで磨かれた部分もかなりあったんじゃないかな?
そう思うと、ジギムに感謝せねばならないかもしれない。
そしてやはり、父さんに仕込まれた部分も大きいだろうね。
「それに、私だって魔力探知を使わなければ、把握できる範囲が狭まるだろうし、見落としも増えるだろう……」
「なるほど」
とはいえ、そのレンカさんの言葉は多分に謙遜も含まれているだろうけどね。
……とか思っているうちに、お客さんのようだ。
「……ギャギィ!!」
「ギギッ! ギギィーッ!!」
「ギッギッギッ!」
「……悪いけど、あんまり遊んでやれないんだ」
「……ギ……ッ?」
「……ッ!!」
「ギ……ギャーッ……!!」
進路上にいたゴブリンの集団を、僕がササッと斬った。
まあ、この程度の奴ら相手にレンカさんが出る必要もないだろうし、特に魔法なんて魔力がもったいないもんね!
「……うむ、鮮やかなものだな」
「恐縮です」
こんな感じで、ときどきモンスターの集団と遭遇しながら森の中を進んでいく。
まあ、余計な戦闘を避けて進むことも選択肢のうちなんだろうけど、それだと遠回りになって時間がかかるからね……
たいして強くないモンスターが相手なら、そのまま倒しながら進んだほうが効率的といえるだろう。
そしてどんどん進んでいくうちに、そろそろ森の浅い部分を通過する。
ここまでは、さほど強くないモンスターとしか遭遇してこなかったが、これ以降は徐々に強い奴も出てくることだろう……まあ、程度問題でしかないかもしれないけど……
「ブゴォ!」
「はい、ご苦労さん!」
「……ォ……ッ?」
早速出会ったオーク1体を倒し、即マジックバッグへイン!
「……うむ、なかなかの早業だ」
「いえいえ、それほどでも……」
レンカさんに褒められて、悪い気はしない……というか、メチャクチャ嬉しい!
ただし、表面上はシブい雰囲気を崩さないように気を付けているけどね。
ま! これぐらいのことでキャッキャするのは、その辺のキッズに任せておくってことさ!!
……といいつつ、僕もまだ年齢的に成人を迎えてないんだけどね。
こんな感じで午前中は、たまに戦闘を交えつつ、ひたすら歩き続ける時間が続いた。
「……よし、ここでいったんお昼休憩にしようか?」
「ちょうどいい感じに開けたところに出ましたし、それがよさそうですね」
森の中でぽっかりと空いたスペースがあったので、マジックバッグから簡易テーブルセットを出してお昼をいただくことに。
そこで、レンカさんは宿屋の料理人に食事を用意してもらっていたようで、それを自分のマジックバッグから取り出した。
「あの宿屋の料理は美味しかったからな、作っておいてもらったのだ……さあ、ノクト君も食べるといい」
「ありがとうございます!」
……アツアツの料理……そう、アツアツなんだ。
つまり、レンカさんの持っているマジックバッグは時間停止が付与されている。
この点からも、レンカさんのお貴族様説が強まるといえるだろう。
まあ、完全に時間停止が付与されているといえないマジックバッグでも程度の差はあれど、だいたいは中に入っている物の時間経過がゆっくりとした感じになっているみたいだけどね。
そしてもちろん、僕が持っているマジックバッグも時間経過がゆっくりしている。
もっといえば、ハイヤン魔道具店の店長さんが高性能なものを売ってくれたからね、おそらく普通のやつよりさらにゆっくりしてると思う……そう思うと感謝の気持ちでいっぱいだよ、ありがとう、店長さん! きっとまた何か買うからね!!
こうして美味しいお昼ご飯をいただいたところで、そろそろ移動再開といったところだろうか。
「……さて、地図を見た限り、もう2時間ほど歩けばオークの集落に着くだろう」
「はい……ようやくといった感じですね」
「ああ、ここからさらに気合を引き締めて行こう」
「ええ、ウワサのオークジェネラルの実力が本物なら、早い段階で僕たちの接近に気付くかもしれませんし……いえ、もしかしたら既に気付いているかも……」
「そうだな、手荒な歓迎を受けることも視野に入れておこう」
「はい」
というわけで、あと少しでオークの集落に突撃となるわけだが、果たして……
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