第57話 割とマシって感じかなぁ?
「セイッ!」
「……ブゴ……ォ……ッ……」
「まずは1体……」
「ブゴォ!」
「ブゴォッ! ブゴォッ!!」
「ブゴォォォォォッ!!」
「ブ、ブゴォ……」
「ブゴッ! ブゴゴゴッ!!」
「ブゴォ……」
「よそ見はいけないね……セイッ!」
「ブ……ゴォ!?」
「2体目……まだまだいくよ!」
「ブゴォッ!!」
………………
…………
……
「君で最後だ……セイッ! ……フゥ……これでオークの団体さんを撃破ってところかな?」
マジックバッグを手に入れてからというもの……僕のモンスター狩りは絶好調である。
最初のうちは「何体編成の集団か?」とか気にしながら戦っていたが、5体を苦もなく狩れるようになってきたあたりから、数は気にしなくなっていった。
そこで、最近僕が気にするようにしているのは、集団の中に上位種がいるかどうかってところだね。
その中でも特に、魔法を撃ってくるオークマジシャンは真っ先に倒すようにしている。
まあ、オークはそこまで魔法が得意な種族でもないらしいので、魔法も数発撃ったら終わりって感じだけど……それでも厄介なことには変わりないからね。
そして逆にオークナイトがいた場合、状況にもよるけど、なるべく最後のほうに取っておいている。
やっぱり上位種だけあって並のオークよりパワーがあるのは当然として、それなりに剣術らしき動きも見せてくれるからね……剣術の稽古相手に利用させてもらっているって感じさ。
そんなことを思いつつ、オークの死骸を回収して回っている。
フフッ……マジックバッグのおかげで、こんなにたくさん戦闘経験を積むことができて嬉しい限りだよ。
そ・れ・に! お肉もいっぱい手に入るからね!!
もう、最近では毎日! お肉食べ放題って感じなんだよ!!
とはいえ、この森にいるのはオークだけじゃないから、全然美味しくないモンスターなんかと戦うときもあるけどね……正直、そういうのはノーサンキューって感じ。
でもまあ、今のところオークを狩れていない日っていうのはないので、問題なし!
「……さて、回収も終わったところで、そろそろ街に戻ろうかな? ちょうど着いた頃には夕方だろうしさ」
というわけで、意気揚々と街へと向かって歩き始める。
「それにしても……だいぶ森の深くまで来れるようになったなぁ~」
もう、今となっては森の浅いところでは、獲物が足りないぐらいだからね……
まあ、狩っても狩っても湧いてくるから、モンスター共が絶滅するってことはなさそう……お肉のことを考えれば、それはそれでいいのかもしれないけど……なんだかなぁ。
「……そして、オークの上位種まで狩れるようになったけど……まだ、オーガには届かないだろうなぁ……まったく、悔しい限りだよ……」
そんなぼやきも交えながらしばらく歩き、ようやく街に到着。
こうして歩く距離は大幅に長くなったけど、重いオークを担がなくてよくなったぶん、すっごく楽になった……ありがたいもんだね。
そんなことを思いつつ、冒険者ギルドの解体兼保管場に向かう。
そこで、今日狩ったオーク1体を解体し、それ以外は解体せず引取に回す。
さすがにここまでくると、全部を解体するのは大変だからね……そのため、自分で食べることを目的にした解体だけして、あとはそのまま売っちゃう。
「おう、ノクト……今日も派手にやったみたいだな……」
「どうもどうも~頑張っちゃいました!」
「お、おう……おつかれさん……」
まあ、パーティー単位でもオークは週に2回ほど狩れば、それで生活が成り立つらしいからね……それから考えると、僕みたいに休息日を除いて毎日たくさん狩ってくるのは、ちょっと変わってるかもしれない。
なんて思いつつ、保管場のオッチャンから引取証明書を受け取り、受付へ向かう。
「お帰り、ノクト君!」
「ただいまです!」
そしてハーシィさんの笑顔に出迎えられて、ようやく本格的に街に戻ってきたなって感じがするわけだよ。
「……上位種を含めたオークを16体……今日も凄まじいわね……」
「いえいえ、それほどでもぉ~」
ハーシィさんの驚いた顔……プライスレス。
「……聞いたか? ミートボーイの奴……どこまでヤル気だよ……」
「まったくもって、恐ろしい限りだ……」
「アイツにケンカ売んなくて、ホントよかったよな……?」
「ああ……挽き肉確定だっただろうからな……」
「それにしても……あんだけ狩っても、どこからともなく湧いてくるモンスター共……マジでどうなってんのかねぇ?」
「だな……昔はあれだけ狩ってたら、ほかの奴が狩るぶんがなくなるって揉めることもあったらしいというのに……」
「つーか、そのモンスターだけどよ……ついに街まで壊滅させるようになったらしいぞ? まあ、これは他領の話らしいけどな……」
「ああ、その話なら俺も聞いた……防衛能力の低い村ならまだしも、街までとは……」
「でもよ、その壊滅させられた街って……領主が無能ってウワサのトコだろ?」
「まあ、お世辞にも善政を敷いていたとはいえないらしいな……」
「その点、うちの領主様は割とマシって感じかなぁ?」
「うむ……酷いところだと、税も半端でなく取られるらしいからな……その上、民への還元は一切なしとか……」
「そういうトコだと……ミートボーイが何体オークを狩ろうと、全然稼ぎになんなくなったりしてな?」
「……あり得る」
「なんにせよ、モンスター共がこっちに来ないでくれると助かるけどなぁ……」
「ああ、比較的恵まれてるこの街から出たくないものな……」
……街まで壊滅!?
あの苦しみと悲しみを……
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