第56話 これからもよろしく!!
おぉ~マジックバッグ~愛しの~マジックバッグ~
なんて歌い出したくなるぐらい、僕は今、喜びでいっぱい。
ただ、周囲の迷惑を考えて声には出さず、心の中でって感じだ。
フフッ、嬉しいなぁ~
そして、僕の魔力の型を刻印……それはつまり、僕とこのマジックバッグは魔力的につながっているともいえるわけで……そう思うと、なんだか家族のような親近感が湧いてきちゃう!
「ウフフフフ~これからよろしくねぇ~」
「えっ? 何この子……もしかしてナンパのつもり?」
「ほぁっ!? す、すいませ~ん……!!」
「あっ、ちょっ! ……行っちゃった……なんだったのかしら……?」
やっちまったね……つい浮かれ過ぎて、恥ずかしい感じになってしまった……
そして恥ずかしさのあまり、とっさに走って逃げ出しちゃったよ……あはは……はは……はぁ……これはダサい! ダサ過ぎだよ、僕ぅ~!!
そんなこともありつつ、宿屋へ戻った。
まあ、さすがにその後は落ち着いた雰囲気を演出しながら歩いていた……と思いたいところだ。
そうして装備品などの手入れをしながら過ごし、夕食の時間がやってきたので食堂へ向かう。
「おう、ノクト」
「こんばんは、ノクト君」
「こんばんはっ!!」
ヨテヅさんとササラさん「夫妻!」が僕に会いに来てくれた!!
フフッ、嬉しいもんだねぇ~
そんなわけで、3人で夕食のテーブルを囲む。
うんうん、こうやって2人が並んでる姿を見ることができて……僕はもう! いうことがないよ!!
それに、ササラさんの美しさがアップしているのは当然のこととして……ヨテヅさんも、なんだかダンディさを醸し出すをようになってきたからね!
あのイカツさばかりを前面に押し出していたヨテヅさんがねぇ……なんとも感慨深いものがあるよ……
「……どうやら今日のノクトは、いつにも増して浮かれているようだな? なんぞいいことでもあったか?」
「えぇ~? 分かっちゃったぁ~?」
「あら、そうなのね?」
「実はぁ~ついにアレを入手出来てぇ~」
「ほう、それはやったな!」
「あらあら、もうそこまでになったのね? 凄いわ、ノクト君!」
ここがパブリックスペースということもあって、あえてマジックバッグとはいわないようにしている。
まあ、盗難対策を施してあるとはいえ、あんまり大っぴらにするもんじゃないからね。
それと、僕がマジックバッグを欲しがっていたことは、当然ヨテヅさんとササラさんも知っているので「アレ」で通じるってわけ。
こうして今日の夕食は、お祝いムードもプラスされてとっても楽しい時間だった。
フフッ……オークをいっぱい狩ったら、2人にもたくさんお裾分けしちゃうからねぇ~! 楽しみにしててよっ!!
そして夕食を終え、2人は家に帰って行った。
その別れ際の瞬間はちょっぴり切なくもあり、でも仲良さそうに2人並んで歩く姿を見て、温かい気持ちにもなるのだった。
その後は僕も部屋に戻り、明日へ向けて一人作戦会議!
マジックバッグを手に入れたことによって、これからは持ち帰ることを気にせずガンガンモンスターを狩れるからね!!
「ふむ、今まではソロのオークを狙っていたわけだが……明日からはデュオも選択肢に入れてみるとするか……?」
……なんて、カッコつけていってみた。
そしてまあ、1体目を奇襲で瞬殺……そして2体目と武のダンスを舞うって感じでいけば、ほとんど今までと変わらないだろう。
なぜなら、最近は戦闘訓練も兼ねてあえて奇襲をかけずに戦っており……それを初手奇襲に戻すだけって感じだからだ。
「……デュオを苦もなく倒せるようなら……トリオもいけるか?」
ただし、一気にトリオを狙うのは調子に乗り過ぎというものだろう。
そんなわけでデュオと戦う際、最初は奇襲で瞬殺し、それを徐々に浅手に調節していきながら、最終的には万全の状態の2体を相手にするって感じにして、以後その繰り返しでトリオ、カルテット、クインテット……と数を増やしていこうかな?
まあ、実際のところそこまでカッチリ決めたとおりにはならず、状況を見て動くことになるんだろうけどね。
「……さて、一人作戦会議はこの辺にして、そろそろ寝ようかな? そして、明日はこれまで以上にガッツガッツいっちゃうぞ! 頑張れ、ファイトだ僕ッ!!」
こうして明日への気合を入れつつ眠りに就く、おやすみなさい……
………………
…………
……
「フゥ……よく寝た……今日は絶好のオーク狩り日和だね! い~っぱい、お肉をいただきだい!!」
そんな感じで元気よく! まずは早朝の剣術稽古から始めよう!!
「……セイッ! ヤァッ!!」
この一振り一振りが、僕を高みへと連れて行ってくれる。
そしていつかは……奴を斬る!
その日まで……
「……セイッ! ヤァッ!!」
こうして日々、剣を振り続ける。
そしてこの父さんから受け継いだ剣……これは武器屋のオッチャンがいっていたとおり、僕の努力と想いに応えて力を貸してくれているのだろう。
この剣でなければ、オークを一刀のもとに斬り伏せるなんてこともできなかっただろうし……そう思えば、感謝の念も湧いてくるというもの。
「……ありがとう! これからもよろしく!!」
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