第45話 こんな男前になりたいものだ
「それじゃあ、ちょっとその辺をブラブラしてくるよ!」
「おう、気を付けてな! といいつつ、子供とはいえお前をどうこうできる奴なんかそんなにいないだろうって気もするけどな……」
「フッ、まあね……」
ここでニヒルな笑みをひとつ、お見舞いするぜ!
「だがまあ……そうやって調子に乗るところは、多少心配ではあるかな?」
「えぇっ、そんな……!?」
「ハハッ、冗談だ! でもま、変な奴にはくれぐれも注意しとけよ?」
「うん、オッケー!」
とまあ、そんな会話を交わしつつ、休息日を満喫するため、お出かけする。
ちなみに、今日は1人で行く。
いや、別に今までだって1人で街中をブラブラしたことが何度もあるし、それこそギルドの依頼を1人でこなしたことだってある。
だからというか、常にヨテヅさんと一緒ってわけでもないんだ。
ま、そんなことはどうでもいいっていうかね……
何を隠そう……今日はササラさんも仕事が休みなのさっ!!
そういうわけでね……僕もそれなりに空気を読める男のつもりではあるからさ、2人のおじゃま虫にはなりたくないなって思うわけ。
だからね、フフッ……気兼ねなく、デートを楽しんできてちょうだい!!
そしてね、ヨテヅさん……あとでそのことを僕にイジらせてくれると嬉しいなって思うんだ……期待してるよっ!!
なんてことを思いつつ……さぁて、僕ものんびり楽しくブラブラしますかね!
それでまず、向かうのは武器屋。
まあ、ここのところモンスターの討伐をメインとしている関係上、剣などの装備品の使用頻度も高いからね。
一応、僕も日々手入れは欠かしていないつもりだけど、やっぱり専門家のメンテナンスを受けておいたほうが、それら装備品にとってもいいと思うんだ。
というわけで、こうして定期的に武器屋に通っているっていうわけさ。
加えていうとFランク、そしてEランクと上がってきたことで稼ぎも安定してきたからね、装備品のメンテナンスにもお金をしっかり使えるようになってきたっていうのも大きい。
それにやっぱ、こういう装備品は僕の命を預ける大事な物だからね、お金をケチるわけにもいかないよね!
とまあ、それは父さんもいってたことだしさ!!
そんなこんなで武器屋に到着し、店内に入る。
「おう、いらっしゃい」
「どうもどうも、今日も剣など装備品のメンテナンスをお願いしに来ました!」
「よっしゃ、そんじゃあ見せてくれるか?」
「はい」
てなわけで武器屋に着いて早速、装備品のメンテナンスを頼む。
「……ふむ、まだそこまで大物を相手にしているわけでもなさそうだが……なかなか戦闘を重ねているようだな?」
「そうですね、基本的にゴブリンとかその辺の奴との戦闘が多いです……それについ先日、ほかのパーティーと一緒でしたが、ゴブリンの集落を1つ壊滅させました」
「ほうほう……なかなか頑張っているようだな」
「いえいえ、それほどでも……」
といいつつ、褒められて悪い気はしないよね!
「うむ……剣については、特にこれといった傷もなさそうだし、これなら磨くだけでよさそうだ」
「そうですか?」
「ああ、その集落の長だったモンスターなんかも、一緒だったっていうパーティーに譲ったのだろう?」
「ええ、先輩冒険者の方たちでしたからね、戦い方の勉強をさせてもらうという意味でも、強そうな奴はお任せしました」
「まあ、なんぼ冒険者はフリーな存在とはいえ、そういう人間関係を丁寧にしとくことに越したことはないだろうさ」
「やはり、そうですよね!」
「それでまあ、最初にもいったが、剣が多少なりとも傷むレベルのモンスターとは戦っていないのだろうと判断したわけだ」
「へぇ……剣を見ただけで分かるなんて、やっぱり凄いですねぇ」
「まあ、経験だな」
「おぉっ! カッコいいです!!」
「ありがとよ……剣はそれでいいとして、ほかの装備のほうは……」
まあ、今のところそこまで危険な相手と戦っていないからというのもあるけど、装備が破損するほどのダメージを受けていないので、こちらも大掛かりな補修は必要なかった。
「ま、ひととおりの作業は夕方までに終わらせとくから、そんときまた来てくれ」
「はい、分かりました。それでは、よろしくお願いします!」
「おう、任せとけ」
そうして預かり証を受け取りつつ、武器屋をあとにした。
「さて、それじゃあ、次は……」
そこで、屋台からお肉を焼く香ばしい匂いが漂ってくる……
ああ、しかもこれは甘辛いタレが効いた、とっても食欲そそる匂い……
うぅ、食べたい……
………………よし! 食べちゃおう!!
「……オッチャン! 串焼き5本ちょうだい!!」
「あいよ、まいどあり!」
まあね、休息日ということで心にも栄養が必要だと思うんだ……だからね、5本いっちゃいました!!
「ほい、1本オマケだ!」
「ほわぁっ! 男前なオッ……兄さん! ありがとう!!」
「ハハッ、いいってことよ!」
なんと気前のいい……これこそが、男のあるべき姿といえるだろう。
僕も、こんな男前になりたいものだ。
そんな感動と串焼きを味わいつつ、街ブラを再開。
「……なあ、お前さんがノクトって子だよな?」
気の赴くままにブラブラしていると、僕に声をかけてきたオッチャンがいる。
う~ん、外壁かなんかの工事のとき、会ったことがあるような?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます