第37話 成長していることだろう!!
「セイッ! ヤァッ!」
休息日から一晩経って、今は早朝の剣術稽古をしているところ。
そして、うん……昨日武器屋のオッチャンにメンテンスしてもらったおかげか、なんとなく剣の振り心地がいいような気がする。
まあ、おそらく気分の問題だとは思うけどね。
それにしても、「使い手を選ぶ剣」とかいわれちゃうとね……なんか、ちょっと緊張にも似た感覚にならなくもない。
ただ、同じぐらい……いや、それ以上にワクワクもしちゃうね!
そうして、僕という使い手を、剣に認めてもらうんだ!
ひゅ~っ、カッコいい!!
それに……僕が、この剣に本当の意味で認められる頃にはきっと、奴も倒せるレベルに達していることだろう。
「ほう、早速装備を身に付けながらの剣術稽古か?」
「おはよう、ヨテヅさん! そうなんだよ、基本的にこれからは装備をしっかり整えた上で戦うことになっていくだろうからね!!」
「まあ、そうだな……そんじゃあ、俺も頑張りますか……」
そういいながら、2人並んで剣を振る。
「フッ……朝日が目に染みるね……」
「ああ、まぶしいな……」
そうしてゴキゲンな気分のまま稽古を終え、そして朝食を済ませて、冒険者ギルドへ向かう。
「あら、ノクト君……おニューの装備、バッチリ似合ってるわねっ!」
「おはようございます、そうですか? あははっ!」
「うん、大人っぽくなったように見えるわ……そして、本格的に冒険者になったんだなぁって感じもしちゃうかな……だからこそ、これから本当に気を付けて依頼をこなしていってね? ……いい? 絶対よ!?」
「はい、慎重の上にも慎重を重ねて、活動していきたいと思います!」
「その言葉、信じたわ……それじゃあ、今日は薬草採取の講習を受けるんだったわね?」
「はい、そのとおりです!」
「うん、準備はもうできてるから、この紙に書いてある部屋に向かってね。まあ、階段を上ってすぐそこだし、張り紙もされてるから迷うことはないはずよ」
「分かりました、それでは行ってみます」
「ええ、頑張ってきてね!」
「はい、ありがとうございます!」
そして、受付のお姉さんに指示された部屋に向かった。
……うん、話にあったとおりガッチリ「薬草採取の講習会場」と書かれた張り紙もあったし、これなら迷うこともないね!
そんな感じで、ヨテヅさんと薬草採取の講習会場に入った。
ちなみに、ササラさんたちは一緒じゃない。
まあ、ササラさんたちは戦闘タイプって感じでもないからね、そりゃそうだろうなっていえるかもしれない。
とはいえ、それは女性だからってわけではない。
なぜなら、この会場にもチラホラと女性の姿もあるからだ。
彼女たちもキッチリと装備を固めているし、ゆくゆくはモンスターと戦闘することも視野に入っているかもしれないね。
そんな感じで待つことしばし、そのあいだにも受講者たちが次々と到着し、総勢11名となったところで、今回講師を務める現役冒険者が現れた。
まあね、やっぱりこういうのは現役の人のほうが、よく分かってるだろうからね。
現場によく通っている人にしか分からない、最新の事情とかもあるだろうしさ!
また、ギルドが講師に選んだぐらいなのだから、きっと信頼されている人なんだと思う!!
……見た感じヒョロッとしてて、あんまり戦う男という印象は受けないが、それはそれ。
「どうも、今日は薬草採取のやり方について教えさせてもらいます……」
なんて挨拶から始まったが……あの見た目でDランクらしい。
一応Fランクにも全くないわけではないが、Eランクから本格的にモンスターの討伐依頼が出てくることを考えると、しっかり戦える人ということなのだろう。
やっぱり、人は見た目だけでは判断できないってことだね……
そんなこんなで、まずは座学から始まる。
薬草の見分け方とか、どんなところに生えているか……なんてことを丁寧に説明してくれる。
正直なことをいえば、既に父さんに教えてもらっていたから、だいたいのことは理解しているつもりだった。
それでも、学ぶ部分がそれなりにあったので、講習を受けておいて正解だったなと思わずにはいられない。
あの知識レベルから考えて……ふむ、どうやらあの講師の方は、薬草採取のスペシャリストに違いない! さすが、ギルドが講師に選んだだけはある!!
そうして座学を終え、今度は街の外に出て実地による講習へと移行。
……よし、講師の方からシッカリと技術を学ばせていただくッ!!
「ええと……この薬草なら、そこまで森の深いところまで入らなくてもいいので、個人的にオススメですね……ああ、ほら、こんな感じで生えてます」
ふむふむ……確かにあの薬草なら、僕もホツエン村付近の森で採取したことがある。
「それからですね、この薬草なんかだと……こんなふうに上手く根っこを残してやると、そこからまた生えてくるので、僕としてはそういう採取の仕方を推奨したいところですね」
ほうほう、あんな感じか……それにしても、手際が凄くいいね。
僕……というか、受講生の誰でも、もっとモタつきそうな気がする。
「おっと……この薬草はこんな感じで、見つけづらかったりするので、じっくり丁寧に探す根気も必要ですね……ただ、それにばかり集中し過ぎていると、モンスターの接近を見落とす可能性もあるので、その点についてはしつこく聞こえるかもしれませんが、何度でも注意しておきます……まあ、そのためもあって、ソロよりは誰かと組むという選択肢もありますね。ですが、その場合もついつい仲間任せになって、自分で警戒をする意識が下がりがちになるので、やはり注意が必要です」
ごもっとも……僕もヨテヅさんに任せっきりにならないよう、しっかりモンスターの接近に気を付けておこう。
こうして森の中を巡りながら、その都度ワンポイントアドバイスを頂いていくのだった。
フフッ、この講習を修了する頃には……きっと僕も、立派な薬草採取マンに成長していることだろう!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます