7.希望観測

「、、、ここどこだ?」


昨夜の事を考えないようにひたすら歩き続けていたが、空が明るくなった瞬間、我に帰る。辺りを見渡すと、もはやどこがわからなくなっていた。辺りに目印になるものを探していると、すぐ近くに目印になりそうな建造物を見つけた。


「あれは、、橋か、、」


近づいてみると、橋の名前が明らかになる。聞いたことはなかったが、昨夜みたルートにあったはずだ。


■戸沢橋■


「随分すすんだんだな、、」


近くの空き家に入り、地図を確認する。予想よりもかなりの距離を進めたのはよかったが、体がかなり疲れてしまっている。一度体を休めようと家を探索し始めた。


「、、手紙?」


リビングのテーブルに一枚の封筒が置いてあった。封はされたままだった。多少の罪悪感を感じたが気にせずに封を開ける。中には二枚の手紙が入っていた。


「風化具合から7年、いや8年くらいはたっているか?」


そう想いながら中身を見る。自分以外誰もいないはずの空き家、ほこりが積もり虚しいほどの静寂に包まれた家に、僅かだが、優しさと暖かさが込み上げた。


■■


「書かれていた内容を要約すると、東京のお台場に自衛隊と米軍が協力して作り上げたコロニーがあるらしい、ここに住んでいた親子はそこに向かったらしい」


地図を広げ、大体の位置と道のりを確認する。、もともと通る予定だったルートとはかなり変わるうえに、、。


「まだあるかは、賭けになるな」


仮にコロニーが作られたのが7年前だとすると、かなりの確率で崩壊しているだろう。現に今まで何度も”崩壊した居住区コロニー”は見てきた。今持っているアサルトライフルもそこから入手したものだ。


「まあ、自衛隊や米軍の残した軍需物資があるかもしれない、それが見つかればかなり楽になるし、、」


腕時計を見ると12時を回ろうとしている。受信の準備をして放送を聞く。


「、、この声の主も”手遅れ”なのは確定しているんだ、寄り道をしても咎める人もいないしな」


”寄り道先”をルートに入れ、家に残っていた災害時用の食料を貰い受ける。手紙は封をして元の位置に戻した。


■■


「やっぱここ名古屋だろ」


橋の上に放棄された車の上に登り、周りを確認する。あちこちに放棄された車の間から、何体か腐肉ゾンビが顔をのぞかせている。ある程度の数を確認し、ライフルを構える。


「せいぜい来世は腐らない人生になることを祈るよ。」


銃についたホロサイトに目を通す。一発、二発、確実にヘッドショットを決め倒していく。あらかた片したあと、ショットガンに持ち替える。


「渡るか、」

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