第23話 寝起きのお姫様
「お母様……」
エルフの国に来てから、二度目の目覚めだった。
私が目覚めた場所はコルテ様の部屋にある、天蓋付きの大きなベッドの上。だけど今回は彼の匂いはしない。
どうやら私のために用意したベッドのようだ。
私は身体の具合を確かめるように、ゆっくりと起き上がった。少し頭痛がするけれど、眩暈はおさまったみたい。昨夜の出来事を思い出しながら、ぼんやりと天井を眺めた。
「私、酔っ払っちゃったのね……」
ドワーフはお酒を飲んでも顔に出ず、平然としている種族らしい。なのに同じドワーフであるはずの私が、まさか少量のワインで簡単に酔い潰れてしまうなんて……。
「たしかに今まで一度もお酒を飲んだことが無かったけれど……」
だから自分がお酒に弱いことも知らなかったし、あの程度の量で酔ってしまうとは思わなかった。
とはいえ、だ。なんと二回目の気絶である。頑張ると意気込んだばかりでまたも迷惑を掛けちゃうなんて、恥ずかしいことこの上ない。
「はぁ……もうみんなに合わせる顔が無いよ……」
ガックリとへこんでいるとコンコンとドアをノックする音がした。
誰だろう。オーキオさん?
「はい」
返事をしてみたけど、誰も入って来なかった。不思議に思って扉を開けると廊下には誰も居らず、代わりに一枚の紙切れが落ちていた。
『気分はどう? 今日の予定は特にないから、ゆっくり身体を休めておいて』
そう書かれたメモ用紙を拾い上げて、コルテ様が私に当てた手紙だと確信した。わざわざ私のことを心配して会いに来てくれたんだろうか。
嬉しさ半分、申し訳なさ半分で複雑な気持ちになった。きっと今だって本当は仕事中のはずなのに……。
「ありがとうございます。でも、ここまで来たのなら顔を見せてくれたって良いのに。……って、あれ?」
思わず独り言を呟いた後、ふと何かが頭の中で引っ掛かった。
夢の中で思い出した人とコルテ様の面影が、なぜか重なった気が……そんな気がするんだけど。
……まぁいいか。私はベッドから起き上がり身支度を整えることにした。いつまでもグータラしているわけにはいかない。
一通り身支度を終えたら、オーキオさんに会うことにした。
この国で自分のできることを早く見つけなければ。
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