国籍不明
彦左衛門が言う。
「まず申し上げますが、こちらのパレオ様は、当家の御客人。
「なるほど」
その経緯は呑みこめた。
加々爪家の長男は、それこそ不逞の輩の
「して、
と新六郎は尋ねた。
彦左衛門は顔をしかめながら答えた。
「それがまだ、お名前の他には、ほとんど何も」
「何もかも忘れてしまいましたわ~~」
とパレオが言った。気が
「海のほうから来ましたわ~~」
「
と受けるしかない。
「パレオ様の
「
つまり、背後の
──雅楽頭様たちは。
酒井たちは既に、パレオの
──いったい、我らをどう動かすおつもりなのか。
新六郎は、困惑した心をそのまま顔に出して彦左衛門を見た。
しかし彦左衛門は、新六郎をよりいっそう困惑させるようなことを言った。
「新六郎殿。小平次殿。
「夢?」
「もしも御二方の見た夢が同じものであるならば……いや、余計なことは念頭に置かれぬほうがよろしかろう」
「そのように
無理であろう、と新六郎は思った。まったく前例のない事態である。
異国の
他国の〈眼〉。
戦の火種を増やすわけにはいかない現状。
パレオについての
この場で彦左衛門が「斬れ」と言えば、小平次は即座にパレオを斬るだろうが、そのような判断ができる段階なのであれば、すでに彦左衛門自身が動いているはずだ。
今は彦左衛門も、そしておそらく重鎮たちも、ただ困惑しながら手がかりを増やそうとしているだけなのだろう。
彦左衛門は腕を組み、「まずは一夜だけ、
小平次は無言で頭を下げた。耳が赤くなっている。
──まったく、なんという夜だ。
小平次は
何もわからない。
どう動くべきか。
座敷の空気が重く感じられる。
彦左衛門がふたたび口を開きかけたその時、だしぬけにパレオが声を上げた。
「やってみればわかりますわ~~」
新六郎は、パレオと眼を合わせた。
「やってみるのが一番早いですわ~~」とパレオが言う。
新六郎は尋ねた。
「やるとは、何を」
「ダンジョンを攻略していきますわ~~」
「
「ダンジョン配信ですわ~~」
「は?」
「パレオが~」
「は」
「魔法で~」
「ほう」
「ダンジョン攻略の夢を見せますわ~~」
「なるほど」
何もわからぬ。
たしかに、やってみるほうが早いのであろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。