幸せのレシピ

根なし草

第1話

彼はちびでデブでハゲで頭の悪い中年男だった。彼の名前は田中といった。彼は会社で働いていたが、誰からも尊敬されず、いじめられていた。彼は家に帰ると、妻にも愛されず、子供にも無視されていた。彼は幸せになりたかったが、どうすればいいかわからなかった。


ある日、彼はインターネットで幸せになる方法を検索した。すると、彼はあるサイトにたどり着いた。そのサイトは「幸せになるための10のステップ」というタイトルで、以下のような内容だった。


1. 自分の長所を見つけて、それを伸ばす。

2. 自分の短所を認めて、それを改善する。

3. 健康的な食事と運動をする。

4. 趣味や趣向を見つけて、それに没頭する。

5. 人とコミュニケーションをとって、友達や恋人を作る。

6. 仕事にやりがいを見出して、成果を出す。

7. お金を貯めて、自分や家族にご褒美をあげる。

8. 人に感謝して、親切にする。

9. 夢や目標を持って、それに向かって努力する。

10. 自分を愛して、幸せだと感じる。


田中はこのサイトに感動した。彼はこれが自分の救いになると思った。彼は早速、このサイトの指示に従って、幸せになるために足掻き始めた。


しかし、彼はすぐに気づいた。自分の長所を見つけるのは難しいし、短所を改善するのはもっと難しい。健康的な食事は不味いし、運動をするのは苦痛だし、趣味や趣向を見つけるのは面倒だ。人とコミュニケーションをとるのは怖いし、友達や恋人を作るのは無理だ。仕事にやりがいを見出すのは無理だし、成果を出すのは不可能だ。お金を貯めるのはできないし、自分や家族にご褒美をあげるのは無駄だ。人に感謝するのは嘘だし、親切にするのは馬鹿だ。夢や目標を持つのは無意味だし、それに向かって努力するのは無駄だ。自分を愛する事はできないし、幸せだと感じるのは嘘だ。


彼は会社で働くのをやめた。彼は上司に退職届を出したが、上司は彼のことを忘れていた。彼は同僚に別れを告げたが、同僚は彼のことを嫌っていたので喜んで、皆で七面鳥でお祝いすると言われた。彼は会社の入り口で立ち止まって、振り返ったが、誰も彼のことを見ていなかった。彼は会社を去った。


彼は家に閉じこもった。彼はテレビを見たが、面白い番組はなかった。彼はゲームをしたが、楽しいゲームはなかった。彼は本を読んだが、感動する本はなかった。彼は何もすることがなかった。


彼は妻に離婚を切り出された。彼は妻に愛していると言ったが、妻は彼のことを信じなかった。彼は妻に謝ったが、妻は彼のことを許さなかった。彼は妻に頼んだが、妻は彼のことを聞かなかった。彼は妻を失った。


彼は子供に見捨てられた。彼は子供に電話したが、子供は彼のことを無視した。彼は子供にメールしたが、子供は彼のことを拒否した。彼は子供に会いに行ったが、子供は彼のことを追い払った。彼は子供を失った。


彼は誰からも連絡をもらえなくなった。彼は友達に話しかけたが、友達は彼のことを忘れていた。彼は知り合いに挨拶したが、知り合いは彼のことを嫌っていた。彼は近所の人に笑顔を見せたが、近所の人は彼のことを恐れていた。彼の傍には誰もいなかった。



彼はどんどん落ち込んでいった。彼は会社で働くのをやめた。彼は家に閉じこもった。彼は妻に離婚を切り出された。彼は子供に見捨てられた。彼は誰からも連絡をもらえなくなった。彼は孤独になった。


彼は死んだ。彼は孤独死した。彼は誰にも気づかれなかった。彼は幸せになれなかった。

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幸せのレシピ 根なし草 @onionmaste

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