第159話

ヴィレッタの最初の仕事は非戦闘員の安全の確保だった。

アルシェントが復帰した今、どこを選んでも一定の安全は保障されている。

だが、ヴィレッタが選んだのは俊の治める領地だった。

ハーリー星系に到着するとハーリー星系の哨戒艦隊と遭遇する。

「こちらはハーリー星系、第486哨戒艦隊です。所属を明かされたし」

「こちらは銀河帝国86785独立遊撃艦隊。ヴィレッタ・モンド男爵だ」

「照会が完了しました。当星系への来訪目的を伺いたい」

「非戦闘員を受け入れていただきたい」

「了解した。権限を越えるため行政府に確認を取る。その間、待機していただきたい」

「了解した。いい返答が来ることを願う」




哨戒艦隊から俊の元に連絡が入る。

「非戦闘員の受け入れか・・・。マーカスさんとマーチェはどう思う?」

「人手はいくらいても足りませんしよろしいかと」

「そうですね。それにこちらを頼ってきた人を送り返しては俊様の評判に傷が入るでしょう」

「回線をまわしてください」

「回線をまわします」

「ハーリー星系領主の俊・マーキュリーです」

「久しぶりだね。ヴィレッタ・モンド男爵だ」

「ヴィレッタさん・・・?」

俊としては宇宙海賊であったヴィレッタが爵位を持っていてびっくりする。

「色々あってね。銀河帝国に復帰することになったのさ」

「そうなんですね。おめでとうございます」

「ありがとう。無理を言っているのは承知だが非戦闘員を受け入れていただきたい」

「受け入れはわかりました。人数はどれぐらいですか?」

「そうだね。50万人ぐらいいるんだが・・・」

「それはまた・・・ずいぶん多いですね」

「やはり受け入れは難しいだろうか?」

「いえ。ハーリー星系だけでは受け入れは難しいですが開発中の惑星にも分散すればなんとか・・・」

「そうか。出来れば家族が離れ離れにならないように頼むよ」

「わかりました。受け入れる人達のデータを貰えますか?」

「今送る」

「到着までには割り振りを済ませておきます」

「すまないがよろしく頼む」

受け入れる人達のデータを受け取った俊は明石に協力してもらってハーリー星系と惑星雪風に割り振っていく。

ヴィレッタの連れてきた非戦闘員達は手に職を持つ人々も大勢含まれていた。

なんとか到着までに割り振りを済ませ一部はハーリー星系で受け入れ残りの人々はそのまま惑星雪風の方で受け入れる。

人が増えたことで食料事情が切迫しているが新設している食料プラントが稼働すればどうにかなるだろう。

それまでは備蓄食料で持つはずだ。

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