第155話

食事後、入浴を済ませた俊は明石の部屋を訪れた。

明石は真剣な顔でパーツの切り離しをしているところだった。

「マシター。どうしたのです?」

「邪魔しちゃったかな?」

「そんなことないのです」

「困っていることとかはないかな?」

「今日1日。ずっとマシターといれて楽しかったのです」

「そっか・・・。何か困ったことがあったら気軽に言ってね」

「わかったのです」

明石の部屋を後にした俊は寝室に向かった。

しばらく待っていると楓もやってくる。

風呂上がりなのかしっとり濡れた髪に色気のようなものを感じる。

「改めて2人きりだと緊張するわね」

「そうだね・・・」

2人して黙り込んでしまう。

俊はなんとか話題の糸口をつかもうと今日のことを聞いてみることにした。

「今日は何をしてたの?」

「他の皆とお買い物ね」

俊が仕事をしてる間、女性陣は仲良くしていたようだ。

「何か買ったの?」

「お金に余裕ができたから色々とね」

女性陣は宇宙生物退治で大金を手に入れている。

仕事中は使わないためこういう機会でもなければお金を使わないのだ。

楓は見せつけるようにくるりと1周してみせる。

「どう?」

「どうって・・・。目のやり場に困るんだけど」

大切な部分は隠れているがそれでも色々見えてしまいそうだ。

「その反応が見れただけでも十分かな」

「楓ってちょっと変わったよね」

「そう?」

「宇宙に来てから積極的すぎるかなって・・・」

「あっ〜。だって、他の子に負けたくないからね」

なるほど。

やたらガツガツ来ていると思ったが理由を聞いて納得した。

「多分、他の子も似たような感じだと思うけどね」

俊が関係を持っているのは現在7人だ。

平等に接しているつもりだが、それでも他の子に負けたくないという心理が働いているのだとしたら俊の落ち度だろう。

とはいえ仕事もある為、1人1人に時間を長時間使うことも難しい。

不安を解消する為に休日で埋め合わせしするしかないだろう。

「不安にさせてごめん」

「忙しいのはわかってるしこうして独占できるから・・・」

俊は少しでも不安が紛れるように頑張った。

朝となり、隣をみればシーツにくるまった楓がすやすやと眠っている。

ぐっとくるものがあるが今日も仕事がある。

軽くシャワーを浴びて朝食の準備をする。

準備が終わった頃、楓も起きてくる。

「ごめん。任せちゃって」

「いいって。明石を呼んできてくれる?」

「わかった」

3人で朝食を食べ明石と俊は身支度をして執務室に向かった。

執務室ではマーカスとマーチェが来ており仕事をはじめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る