第152話
明石は改装後、以前よりも巨大になっていた。
その特徴はブラックホールエンジンを4つも搭載していることだろう。
明石の船体は5つに分かれるようになっており中央の全体を制御する部分と整備用の4つの区画に分けられる。
船体が分かれることによってどんなサイズの船も対応が可能となっている。
工作機能も大幅に強化されておりフル稼働させれば戦艦や空母といった大型の艦でも1週間ほどで新造できるほどだ。
「随分、大きくなったね・・・」
「ヴィービルちゃんが役に立つにはこれぐらいの性能が必要だと言っていたのです」
明石は自信満々にそう言いきった。
「劣っているよりはいいけどオーバースペックかな・・・」
「駄目だったです?」
「俊殿。出来てしまった物は仕方ありません。有効に使うことを考えるべきかと・・・」
「そうですね。それに戦艦や空母の数は足りていませんでしたから明石が造ってくれたら助かりますね」
「任せるのです」
明石はそういうといくつかの設計図を即座に提示してくる。
「う〜ん。なんか見慣れない機構とか兵器があるんだけど・・・」
「ヴィービルちゃんがくれた情報を元に考えた試作品なのです」
「安全性は?」
「計算上は大丈夫なのです。後は実際に造ってデータを元に修正していくのです」
試行錯誤は大事だ。
とはいえ新しい物をただ取り入れれば良いというものでもない。
「まずは既存の設計で戦艦と空母を5隻ほど造ってくれるかな?その後は明石の好きにしていいから」
「わかったのです」
明石が聞き分けのいい子で助かった。
「マーカスさんからは何かありますか?」
「そうですな・・・。技術の移り変わりは激しいですがここまで突き抜けているといっそ清々しい・・・」
言わんとすることはわからなくもない。
だが、ヴィービルがいたらこう言っていただろう。
過去の技術を引っ張ってきているだけだと。
それぐらい滅んだ古代文明は今の文明よりも優れていたのだ。
その結果が滅亡なのだから笑えないが。
俊としては明石に見限られないように頑張るしかない。
「明石。僕達はそろそろ行くけどどうする?」
「マシターと一緒に行くのです」
完全独立型のAIである明石やヴィービルは常に電波で本体と繋がっている。
どれぐらい離れられるかは状況にもよるが停泊宙域からステーションぐらいなら余裕だ。
それに本体である艦はセキュリティーもしっかりとしている。
アバターと連絡が取れなくなると自衛モードに移行するようになっておりその装備もえげつないことになっていた。
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