第149話

財政状況も黒字であり移民の受け入れ体勢も落ち着いている。

星系軍の建て直しも完了した。

だが、先日の海賊艦隊との邂逅で痛感したが星系を守るためには数が不足している。

AI搭載型の艦で補うにしても限界があるだろう。

明石やヴィービルのような完全独立型のAIをぽんぽん増やすのも問題がある。

戦力を増やしたいがどうすれば人員を確保できるのか・・・。

取りあえず星系軍の求人募集も出しているがあまり成果が出ていないのが実情だ。

給料の面では安定しているが星系軍の仕事はどうしても危険と隣り合わせだ。

それを考えると危惧する人も多いのだろう。

俊は星系軍のイメージアップをするべく動画を撮影することになった。

「銀河の平和を守るため。星系軍では君達の来訪を待っている!」

「はい〜。カット。俊様。ご協力ありがとうございました」

「これで本当に希望者は来るんでしょうか?」

「大丈夫ですよ。領主が自ら動くことが大事なんです」

「そういうものですか?」

「そういうものです」

担当者は自信満々にそう言いきった。

実際に動画がアップされると以前よりも星系軍への希望者が増えていた。




領主の仕事をしつつ訓練生の訓練を視察したりと傑は日々、忙しく動き回っていた。

「俊。遊びに来たよ」

そういって現れたのは宇宙生物を狩りに行っていた女性陣だ。

「皆、元気そうだね」

「俊ってば全然戻ってこないんだもん」

「ごめんごめん。忙しくって」

「それはわかってます。でも私達との時間を作るのも領主としての務めですよ」

「ええっと・・・」

俊は困ったような顔をする。

「俊殿はまだお若いですからな。心配はしていませんが跡取りを作るのも大事ですぞ」

「マーカスさん・・・」

「仕事はこちらでしておくので頑張ってください」

「わかりました」

取りあえずショッピングモールに向かう。

女性陣に連れまわされ数時間、買い物に付き合わされた。

買った物は配達を頼んだので荷物持ちをしなくていいのは助かったが物1つを買うにしても意見を求められるので精神的な疲労を感じる。

「そろそろ食事にしましょうか」

「言われてみればお腹が空いたな・・・」

「お店を予約してあるので行きましょう」

連れていかれたのは高級ホテルに併設されているレストランだった。

コース料理が運ばれてくる。

こういうお店ではワインが付き物だが一部、お酒に不安があるメンバーがいるのでそれを伝えると葡萄ジュースを手配してくれた。

食事を楽しみつつも俊は緊張していた。

全員と一度は関係があるとはいえ、その時の記憶はほとんどない。

自分はちゃんとうまくやれるのだろうか。

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