第141話

呼び出した軍人達はすぐにやってきた。

「お呼びでしょうか?」

「訓練中にすみません」

「いえ。一度、お会いしたいと思っておりました」

「理由をお聞きしても?」

「腐敗した上層部を排除してくださったのです。これで軍人として勤めを果たすことができます」

どうやら彼等はかなり熱い性格をしているようだ。

「そんな・・・。彼等を放置していたマーキュリー公爵家にも責任がありますから」

「ごっほん。俊殿。本題に入りましょう」

マーカスがそう咳払いしてくる。

「そうでした、皆さんに来てもらったのはある資格を取っていただきたいからです」

「その資格とは?」

「スターズです」

「スターズですか・・・。ご命令とあれば受けさせていただきます。ですが、ご領主様にお願いがございます」

「なんでしょうか?」

「我々と共にスターズの試験を受けていただきたい」

「あの・・・。軍人としての訓練をまったく受けていないのですが・・・」

「問題ありません。我々が仕えるべき相手か見たいのです」

彼等の目線は言っていた。

自分達が地獄のような目にあうのだ。

貴方も同じ地獄を味わうべきだと。

助けを求めて俊はマーカスを見る。

「そうですな・・・。俊殿も受けるべきでしょう」

マーカスはあっさりと俊を裏切って見せた。

「わかりました・・・。受ければいいんですよね?」

「ご快諾いただきありがとうございます。では、我々は準備があるのでこれで」

そう言って彼等は部屋を出て行った。

「マーカスさん・・・。受かる気が全然しないんですけど・・・」

「俊殿。合格、不合格はこの際、問題ではありません」

「と、いうと?」

「口先だけの領主より苦楽を共にした方が親しまれるとは思いませんか?」

「なるほど・・・。ですが、マーカスさんは参加しないですよね?」

「そうですな・・・。この老骨には少々厳しいですな。ですが、助言を1つだけ」

「助言ですか?」

「決して諦めないことです。そうすればおのずと道につながるでしょう」

「はぁ・・・」

「では、俊殿も準備いたしましょう」

「そうですね・・・」

スターズに参加する者は自分で必要な物資を集める必要がある。

持ち込んだ物だけで1週間を過ごさなければならない。

途中で何かが足りなくならないように事前の準備が重要だ。

「さて。本来であればまずいのですがいくつかエルフに伝わる秘薬をお渡ししましょう」

「ありがとうございます」

マーカスはそう言って貴重な薬をわけてくれた。

「後は俊殿次第。ご武運を祈っておりますぞ」

「行ってきます」

こうして俊は過酷な訓練に参加することになった。

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