第140話
解放された元宇宙海賊達の処遇について各施設の代表者と議論を交わしていたがどの施設も彼等の過去を考えて引き取れないとの結論に至った。
そこに相談役でもあるマーカスが忠告してくる。
「俊殿。こう言ってはなんですが、彼等を忌避するのは何も代表者だけではありません」
「そうですね・・・」
領主権限で強引に働かせることはできるだろう。
だが、それは現場でいらぬ争いを生む可能性があった。
元宇宙海賊の人々は言わば犯罪者だ。
望んで宇宙海賊になった者はほとんどいないが、振り分けられた領地を離れた段階で銀河帝国の保護下から離れているのだ。
「仕方ないですね・・・。惑星雪風の方は仕事が余っていましたよね?」
「そうですが・・・。彼等を惑星雪風で働かせるのですか?」
「そのつもりです。反乱はしないと思いますが惑星に閉じ込めてしまえば問題が起きた時に対処しやすいですし」
「なるほど・・・。一理ありますな」
「彼等への対応はこれでいいとして問題は逃げた宇宙海賊ですね」
「そうですな・・・。このまま終わるとは思えません」
「ハーリー星系の星系軍の再編はぎりぎりといったところでしょうか?」
現在、ハーリー星系の星系軍の整備を急ピッチで行っている。
ヴィービルがいる間はよいが常にヴィービルを当てにするわけにもいかない。
ヴィービルが不在の時にも星系を維持できるだけの戦力を確保する必要がある。
「シミュレーションの結果は上々です。そこにエルフ艦隊を合わせれば防衛は可能でしょう」
「そうですね・・・。問題は階級と実際の配置があっていないことですか」
「そうなりますね」
適正を調べた結果、実力と階級があっていない人材が数名いた。
領主権限で多少はなんとかなるがあまり介入すれば不評を買うだろう。
彼らは星系軍所属ではあるが銀河帝国艦隊からの出向組なのだ。
上から命令されればハーリー星系を離れることになる。
「ふむ。手がないこともないですが・・・・」
「手があるんですか?」
「過酷な訓練を通過できれば特別な資格を与えることが可能です」
「それがあれば多少の階級差を無視できるのですか?」
「そうですが・・・。あまりの厳しさにほとんどの者は脱落しますし参加事態を嫌がるでしょう」
「打診するだけしてみましょうか・・・」
「そうですね。少しでも可能性があるならやってみるべきでしょう」
俊はすぐに星系軍の指揮官に連絡を取った。
招集された候補者達は10分以内に執務室にやってきた。
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