第138話
エルフ達の操る艦隊はすぐに仕事を始めた。
それは宇宙海賊狩りだ。
1つ1つの規模は小さいのだが、大量の宇宙海賊が存在しており無視できないレベルだったのだ。
最初は順調に宇宙海賊の取り締まりを行っていたが、時間が経つにつれその成果は著しく低下した。
少しでもエルフ達の艦隊が近づけば一目散に逃げていく。
宙域の安全の確保という意味では十分な成果だが、拿捕ないし撃破しなければ宇宙海賊の脅威は本当の意味ではなくならない。
ここでヴィービルがある提案をしてくる。
「私が拠点を潰すからその後をお願い」
「1艦だけで大丈夫?小規模とはいえ、拠点にはそれなりの備えがあるみたいだけど」
「問題ない。私の装備なら過剰すぎるぐらい」
「わかった。無理はしないでね」
「貴方は優しい。少し明石が羨ましい」
「そうかな?」
「ドリトルは私をうまく扱ってくれるけどぶっきら棒」
「そうかな?ドリトルさんって面倒見が良さそうなんだけど」
「そうなの?」
「そうだよ。困っているときは何かと助けてくれるし」
「そう・・・」
ヴィービルは何かを考えこむように黙ってしまった。
宇宙海賊の拠点潰しがはじまった。
ヴィービルが拠点を潰しその後はエルフの艦隊が人命救助や貯めこまれた物資の運び出しを担当する。
残念ながら正規のハーリー星系星系軍はこの出撃に間に合わなかった。
急ピッチで艦隊の整備を進めているが内情は思った以上に酷かったようだ。
一部ではあるが廃艦寸前の艦まであったようだ。
廃艦寸前までいくと新造した方が早いパターンもあるそうだが、今回は修理の方向で手配をした。
というのも星系軍が保有する戦力は銀河帝国艦隊に届け出が必要だ。
艦の登録なども様々な手続きをしなければならない。
廃艦にして新造艦にした場合は税金の無駄遣いなどと言われたりするそうだ。
現場から言わせてもらえれば間違っているのだが、銀河帝国艦隊の監査部はお役所仕事なのである。
監査部も現場の現状をしらないわけではないが、規則なのでそのルールに従って仕事をするわけである。
これは銀河帝国艦隊が大所帯であることも問題なのだろう。
俊は皇族としてかなり優遇されているが、ルール破りをして目を付けられたくないという事情も存在した。
母親であるアルシェントが暴れまわっている影響で弱点となりうる俊は周囲に気をつけるようにと親衛艦隊の司令から言われている。
俊の仕事は治める宙域を発展させつつ自衛できる戦力を確保することなのだ。
かなり大所帯になってきた感はあるが、敵対勢力に対抗するためにはまだまだ戦力の拡充が必要だ。
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