第137話

司令官は首にしたが、他の者達まで首にするわけにはいかない。

そんなことをしてはハーリー星系の星系軍は崩壊してしまう。

程度によって処罰を与えるにとどめる。

とはいえ、極一部ではあるがやる気のある者達もいた。

そう言った者たちを昇格して星系軍の立て直しを開始した。

「昇格させたのはいいとして、いきなり艦隊運用とかは難しいよね。ということで、諸君には艦の整備が終わるまで教育を受けてもらう」

「わかりました。精一杯頑張ります」

用意しておいた課題やシミュレーションをとことんやりこんでもらう。

その間に持ち込んだ資材と工作機で艦の整備を一気に進める。

どの艦も型落ちの艦ではあるが元々は銀河帝国艦隊が運用していた艦であり、民間や宇宙海賊と比べれば十分恵まれている。

ハーリー星系の星系軍が機能不全に陥ってしまったが、その間は連れてきたエルフの精鋭艦隊に仕事を肩代わりしてもらう。

彼等もAI搭載艦を運用するのははじめてであり訓練の意味合いもある。

俊は一通りの指示を出すとハーリー星系の代官と話し合いを持った。

惑星ハーリーは各種資源を産出すると共にメインの外貨獲得手段は観光だ。

辺境であるため、客はそこまで多くないが富裕層には人気がある。

少し手を加えれば移住可能な惑星も複数存在している。

開発資金にはかなり余裕があるため、手続きをして新たな惑星改造艦を手配する。

通常であれば惑星改造艦が予約待ちでかなり待たされるそうだがここで俊が皇族であることが生きた。

皇族用の惑星開発艦が余っているそうですぐに送ってくれることになった。

「後は人員かな・・・?」

「そういうことでしたら、孤児院の子供を採用しませんか?」

「孤児院の子か。ハルカ達から聞いたけど最低限の教育は受けているんだよね?」

「その通りです。彼らは時が来れば施設を出なければいけません。生きていくために技能を身に着けるのです」

「とにかく会ってみよう」

「それでは手配しておきます」

どれぐらいの人数を雇用するかはまだわからないが、技能持ちの人材を採用できるならその方がいい。

性格などの問題もあるが基本的には受け入れるつもりでいる。

「そうだ。後は奴隷商人と会えないかな?」

「奴隷商人ですか?」

「うん。とにかく人材が足りないからね。それに個人的に奴隷に対して思うところもあるし」

奴隷というのは法律で認められている。

それに奴隷であることを望む人もいるだろう。

最低限の衣食住が保障されているのだ。

命令されたことをこなしていれば楽だという人もいるだろう。

だが、人として生まれたのだ。

最初はうまくいかないかもしれないが人生を楽しんでほしい。

皇族として成し遂げたいことが決まった瞬間だった。

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