第136話

ハーリー星系を好きにしていいとのことだったが、まず気になるのは星系軍の状態だった。

仕事をしないことで有名とのことが気にかかる。

彼等の所属は銀河帝国艦隊であるが、出向という形で領主の指揮下に入っている。

辺境の星系軍への出向だ。

最近まで領主である父親のカールは最低限の仕事だけをして放置していた状態だ。

いわゆる左遷に近いのかもしれない。

仕事をしても評価されないとなればやる気も出ないだろう。

だが、問題点はそれだけではなかった。

一部、権力者との癒着。

それだけでなく宇宙海賊にも物資の横流しをしていると思われる形跡が確認された。

「色々、問題点ばかりですね」

「そうですの。ここまで酷いのはあまり目にしたことはありません」

そういうのは相談役に収まっているマーカスだ。

「とにかく現地に向かいましょう」

「暇だから付き合ってあげるわ」

ヴィービルがそう提案してくれる。

「ドリトルさんには何も言わなくて大丈夫?」

「お仕事が忙しいみたいだから。それにたまには本体を動かさないとね」

「ありがとう。助かるよ」




ヴィービルを旗艦として親衛隊を引き連れ俊はハーリー星系星系軍の本拠地を訪れた。

「これはこれはようこそ」

そう言って出迎えてくれたのはでっぷりと腹の出た胡散臭そうなハーリー星系星系軍司令官の男だった。

「まず、いくつか確認したいんだけど・・・」

細々としてことを確認する。

記録でわかっていたことだが、実際に確認してみるとさらに酷い。

稼働可能艦は8割を切っている。

本来であれば整備中の艦は2割に抑えられていなければならない。

だというのにこの状態。

「どうしてここまで稼働率が落ち込んでいるんだ?」

「それは、物資も足りていませんし整備要員も足りていないからです」

それは嘘だ。

ハーリー星系は資源が豊富にある星系だ。

星系軍には最優先で回ってくる。

整備要員が足りていないのは本当だったが、それはあまりの待遇の悪さに退官し民間に流れてしまっているからだ。

「なるほど・・・。色々言いたいことはあるけど司令官。君は首だ」

「そんな・・・。いきなり首とは横暴です」

「これらのデータを見てくれるかな?」

俊は首に至る理由をデータという形で突きつける。

「確かに、私にも非はあるでしょう。ですが・・・」

まだ、言いたいことがあるのか司令官は続けようとするが俊が合図を送ると親衛隊員達によって司令官は連れていかれた。

「汚職は彼だけではないでしょう。大変ですが大掃除をしましょう」

俊とマーカスはハーリー星系星系軍の立て直しを開始した。

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