第135話
「長旅の疲れもあるでしょうが、仕事場の見学会を行います」
俊がそう言うと待機していた各職場の責任者が現れる。
「皆さん。我々についてきてください」
エルフ達は文句を言うこともなくそれに続き退室していった。
「さて、我々も仕事をしますか」
「マーカスさん。改めてよろしくお願いします」
「とはいえ、どこまで力になれるか・・・」
マーカスは経験豊富な政治家ではある。
だが、領地開発をしたのははるか昔だ。
技術も色々進歩しており知らないことも多いのだ。
「まずは領地の状況をまとめたので見てもらってもいいですか?」
「ほう。拝見しよう」
マーカスはデータを送るとものすごいスピードでまとめたデータを見ていく。
「ふむふむ。資源にはかなり余裕がありますな」
「これからのことを考えるとまだまだ足りないのでは?」
「手つかずの資源が大量にありますからな。むしろ余裕のある時に他にまわした方がいいでしょう。そうすることで、職を求めて他所から人が寄ってきます」
「なるほど・・・」
「それと、カール殿より伝言を預かってますよ」
「父から?」
「ええ。ハーリー星系を好きにしてよいとのことです」
「ハーリー星系をですか?」
「まぁ、マーキュリー家の本領域から離れてますからな。統治のことを考えれば都合が良いのでしょう」
「そうなると戦力がますます足りませんね」
「そうですの。艦に余裕があるならやりようはあるかもしれませんが・・・」
「あっ。駆逐艦なら多少は余裕がありますよ」
そう言って俊は新たにデータを送る。
「ふむふむ。AI搭載の駆逐艦ですか。性能も申し分ない。我々が連れてきた者を指揮官として分散させましょう」
「よろしいのですか?」
エルフの艦隊は強力だ。
俊としてはまとめて運用することで強力な戦力として使いたい気持ちもあった。
だが、現実問題として数が足りていない。
「海賊や小規模の宇宙生物ならなんとかなるでしょう。彼等には私から話を通しておきましょう」
「よろしくお願いします」
「後はそうですな・・・。惑星雪風で生産される食糧や資材はいい値段で売れるでしょう」
天然物よりは値段が下がるが惑星で生産される食糧や資材は高級品だ。
大抵の物は合成や培養など代替商品がある。
庶民は値段の関係で代替品を選ぶが、富裕層などには惑星産の方が人気だ。
惑星雪風では移民者達によって加工工場が稼働しつつある。
移民者の数はまだまだ足りておらず大量生産は難しいが少量でも十分な外貨獲得手段になるだろう。
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