第134話

働いたことない者を働かせる。

これには様々な問題がある。

どの業種でも新人が入ってくることはあるが、仕事に慣れるまでフォローが必要だったりする。

大体の職種でベテランがフォローに回ることが多い。

俊はそこでAIを活用することを思いついた。

古代文明時代ではそれで失敗したわけだが、人手の足りない現状ではそれを気にしている余裕はない。

いくつかのセーフティー機能を組み込んで実際に試してみる。

今回、協力をお願いしたのは元宇宙海賊の子供達だ。

特別手当を出すといったら全員やる気に満ちていた。

その日の終わりにアンケートを実地して問題点を洗い出す。

わかりにくい部分や改良点を上げてもらいそれを反映して翌日、また試してもらう。

試行錯誤を繰り返し、なんとかエルフ達がやってくる前にある程度の形にすることができた。

出来ることはした。

後は、本人のやる気次第。

俊はステーションで受け入れるエルフ達を待ち構える。

ステーションに特徴的な客船が入港してくる。

ぱっと見は豪華ではない。

だが、細部まで作りこまれたその客船は見る人が見れば職人の丁寧な仕事が見て取れる。

客船からエルフ達が降りてくる。

先頭を歩くのは年老いたエルフの老人だ。

「お待ちしておりました」

「領主自らのお出迎え痛み入ります。我々のわがままを受け入れていただき感謝します」

この年老いたエルフはアピス公爵家の先代の当主であるマーカス・アピスであった。

年老いたとはいえまだまだ元気である。

色々と不慣れな俊の指導をしてくれることになっている。

「お話は後程。宿泊施設を用意しています」

そう言って俊は先導してステーションを後にする。

高級ホテルを用意することもできたが、彼等は長くここに住むことになる。

それを考慮して一般的な宿舎を用意した。

それぞれを部屋に割り振り1時間後に会議室に集合する形となった。

「時間を取らせて申し訳ありませんの」

「いえ、彼等も慣れない環境で大変でしょう」

彼等は本人の希望というよりは将来を心配した家族に送り出される形でこの場にいる。

強制的に環境を変えることで成長してほしいとの願いが込められているが最後は本人のやる気次第だ。




1時間後、全員が揃ったのを確認して俊は事前に用意しておいたデータを端末に送る。

「まずはやってみたい職種を選んでください」

エルフ達は戸惑ったようだが端末の操作を開始する。

データにはどういった作業に従事することになるかも含まれている。

俊は全員が回答したのを確認して次の準備に取り掛かった。

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