第131話

「エルフィンドさんは仕方ないですね・・・。信濃。前に出ますよ」

マーチェが信濃に指示を出す。

「了解。前に出ます」

俊は今回、お客様扱いである。

信濃の指揮権の優先権は俊が持っているが、今後の運用を任せるマーチェのお手並み拝見といったところであろうか。

信濃はあっという間に加速して他の艦艇を置き去りにする。

そこに、中型の宇宙生物のレーザー攻撃が迫ってくる。

「シールド展開」

「シールドを展開します」

レーザーは信濃の展開したシールドに当たり消滅する。

「被害報告」

「シールドは問題なく機能しています。エネルギー消費も問題ない範囲です」

その間もエルフィンドが指揮する突撃艦は高速で動き小型の宇宙生物を相手にしていた。

「エルフィンドさん。道を作ります」

「了解。タイミングは任せるわ」

「主砲。出力5%ほどで発射準備」

「充填開始します」

信濃の主砲を全力で撃てば群れは難なく処理できるだろう。

だが、それは最悪の事態だ。

群れを退治するのはもちろんだが、宇宙生物の遺体というのは貴重な資源なのだ。

損傷をなるべく少なくして回収する必要があった。

それに充填率を下げるのにはメリットもある。

充填率を下げて主砲を撃った場合、連射が可能になる。

数を相手にしなければならない現在、有効な手と言える。

「主砲、発射準備完了」

「主砲、発射せよ」

信濃から主砲が発射される。

「有効打を確認」

どうやら狙い通りの場所に着弾したようだ。

「連続で発射」

「了解。連続で発射します」

そこからは一方的な蹂躙だった。

正直、防御能力もそうだが、攻撃力を取ってしても信濃1艦があれば戦局を大きく左右するだろう。

消費した資源を考えればこれぐらいしてくれなくてはとも思いはするが・・・。

「エルフィンドさん。今です」

マーチェがそう告げるとエルフィンドは躊躇なく群れの中に飛び込む。

その加速はすさまじくあっという間にエルフィンドの操る突撃艦は中型の宇宙生物に肉薄した。

「全弾もってけぇ!」

一瞬の交差でエルフィンドの操る突撃艦は中型の宇宙生物を蹂躙する。

精霊のおかげかその火力は底上げされているようだ。

中型の宇宙生物はエルフィンドの操る突撃艦を脅威と思ったのか攻撃を集中しているが、そこにエルフィンドの操る突撃艦はもういない。

「相手の統制が崩れました。一気に押し込みます」

マーチェが指示を出すと他の艦も攻撃に集中する。

そこからはワンサイドゲームと言ってよかった。

宇宙生物は一方的に攻撃され、群れの討伐は問題なく完了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る