第130話

宇宙生物のいる宙域に到達した。

宇宙生物の群れの規模に対しこちらの戦力が圧倒的に足りておらず、各艦を薄く配置している状態だ。

「ねぇ・・・。本当にこの群れを相手にするの?」

俊としては取り逃がしたりした場合の手間を考えればスルーしたい心境である。

だが、女性陣はやる気のようだ。

「取り逃がしても問題ないように配置してますよ。最低限、ステーションだけ守れればいいわけですし」

「もう。俊は心配しすぎ。任せなさいって」

ハルカに続き楓もそう言ってくる。

短期間で楓もずいぶんと慣れた様子である。

「各艦。問題ありませんね?カウントを開始します」

今回の指揮はマーチェがすることになっている。

俊の心境とは別にカウントを開始する。

「5、4、3、2、1。各艦、ミサイル発射!」

全艦がミサイルを発射して小型種の殲滅に入る。

俊はレーダーで効果を確認する。

ミサイルは所定の効果を発揮し、小型種の数がどんどん減っていく。

が、全ての宇宙生物を倒すことはできず、残った小型種がこちらに向かってくる。

「次弾ミサイル装填急げ!前衛艦隊、及び戦闘機部隊は近接戦用意」

各艦隊に配備されている駆逐艦が前に出る。

その後方から楓の指揮する空母群から戦闘機が発艦する。

今のところ逃げた宇宙生物はいない。

駆逐艦は装備されているレーザー銃で近寄ってきた小型種を的確に排除していく。

中型の宇宙生物はまだ動き出していない。

楓の指揮する戦闘機部隊は駆逐艦の穴を埋めるように動いている。

少し見ないうちにまた楓は戦闘機の扱い方がうまくなったようだ。

マーチェは送られてくるデータで各艦のミサイル再装填を確認しているようだ。

「10秒後にミサイルの再発射を行う。データを送ったので射線をあけるように」

前衛艦隊と楓の指揮する戦闘機部隊はぎりぎりまで戦闘を継続してミサイルの射線をあける。

少しでもタイミングがずれれば味方のミサイル攻撃に巻き込まれるところである。

殺到していた小型の宇宙生物に次々とミサイルが着弾していく。

「ここまでは順調ですね・・・。問題は・・・」

小型種の宇宙生物ではどうにもならないと考えたのかはわからないがここで中型の宇宙生物に動きがあった。

「中型の宇宙生物に高エネルギー反応。遠距離攻撃の可能性あり。各艦、回避行動」

中型の宇宙生物は小型の宇宙生物を巻き込むのを気にせずレーザーのようなものを撃ってくる。

その威力は中々の物だ。

当たればかなりの被害が出るだろう。

ここで痺れを切らしたエルフィンドが動き出した。

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