第127話

元宇宙海賊の子供達は勉強を頑張っている。

それはいいことなのだが、子供達はお金を全然使っていなかった。

その理由を聞いたら、両親と一緒に暮らすためだという。

親の抱えている負債を少しでも軽くしたい。

そんな思いがあるようだ。

俊としては子供達に経済を学んでもらいたかったのだが、子供達の気持ちを考えれば怒るわけにもいかない。

緊急で元宇宙海賊の親達と話し合いの場を設けた。

事情を説明すると元宇宙海賊の親達は泣く者も出る状況だ。

「我々が不甲斐ないばかりに・・・」

「いえ、皆さんの立場もわかっていますから」

そもそも何故、宇宙海賊になったのか。

まずは、領主による圧政だ。

税率などかなり自由に領主が設定できる法律になっている。

中には生活できるぎりぎりまで搾り取ろうとする領主も存在するのだ。

そんな環境から逃げ出したいと考える人は少なくないだろう。

そんな中で少なくない料金を業者に払い領地を離れる。

だが、逃げ出したとしてまっとうな生活が保障されているわけではない。

個人個人にIDが発行されており、仕事に就こうにもまともな職業に就くことは難しい。

逃げた先で犯罪行為に手を染めて生活している人も少なくない。

多くの人達が最終的にたどり着く底辺が宇宙海賊というわけだ。

自分から選んだ人もいれば強制的に宇宙海賊に売り飛ばされるという人もいる。

宇宙海賊の元では悪徳領主の時よりもさらに酷使される。

だが、反抗するわけにもいかない。

大事な家族がいるのだ。

納得できなくても働き続けるしかなかった。

「とにかく、親として子供達には心配しなくていいのだと説明します」

「よろしくお願いします」




それからしばらくして、子供達はステーション内で買い物をするようになった。

中には投資をしている子供もいるようだ。

さすがに賭けごとをしていれば怒るところだが、投資で怒るのは難しい。

経済をまわすという意味では使い方としては間違っていない。

増えたり減ったりはあるにせよ、どう使うかは子供の自由なのだから。

スペースウォーの端末は全日、大盛況だ。

成績によっては将来、雇用するということは伝えているので勉強よりそちらを重視している子もいる。

どういった仕事を任せるかは能力次第ではあるが領主の元で働くというのは将来設計としては間違っていない。

現に元奴隷である従業員達にも一流企業並みの給料を支払っている。

現状、限られた人数で業務を回している関係上、休日問題が出ている。

ステーションに戻ってきたときに長期休暇を与えるなどで納得してもらっているがその辺を改善する必要があるだろう。

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