第125話
全員が揃っているということでこの日は食事に向かうことにした。
何を食べたいか女性陣に聞くとヘルシーな物がいいとのことで、和食のお店をチョイスする。
お値段は中々お高いが、喜んでもらえるならいいだろう。
このお店はこの時代には珍しく天然素材にこだわっている。
生では食材を運べないため冷凍食材だが特殊な処理を施すことで鮮度を落とすことなく運ばれた食材を利用しているとのこと。
「やっぱり、和食は落ち着くわね」
「そうだね・・・」
楓と俊は味噌汁を飲んでほっと息をはく。
「なんだか2人共、お年寄りみたい」
ハルカがそう突っ込んでくる。
「まぁ、落ち着くのは私達も同じだけどね」
「そうそう」
アカネ、シオン、フィーネが頷いている。
「素材の味がうまく生かしているのがいいわね」
エルフィンドはそう言いながら箸が止まらないようだ。
和食というのは奥が深い。
出汁をとったり、隠し包丁を入れたり。
お客さんに喜んでもらうために見えないところに様々な技術が使われている。
「それにしても、なんで宇宙に全く同じ調理方法があるのかしら?」
「そう言われてみれば・・・」
「恐らく、カール様の仕業かと・・・。先代のご領主様のお気に入りの調理法として広まっていましたから」
マーチェがそう言ってくる。
「あぁ・・・。なるほど。父さんか・・・」
地球で気に入って調理方法だけこっそり広めたってところだろう。
父であるカールは食事には力を入れていた。
休日のたびに食材を求め付き合わされたこともある。
母であるアルシェントはあきれつつもいつも食べたい物を作ってくれた。
たまに失敗することもあるがそれもいい思い出だ。
「食べたなぁ・・・」
「そうね。少し休憩しましょうか」
結局あの後、全員がおかわりしていた。
適当なベンチに座り休憩していると見慣れた子達が通りかかる。
「あっ。隊長達だ」
隊長ということはこの子達はハルカ達の部下なのだろう。
「皆で揃ってデートですか?」
「いやいや。食事に行ってただけだよ」
「それを世間ではデートっていうんですよ」
「そういう貴方達は買い物?」
「そうですよ。少し見ない間に色々入ってきてて」
日々、このステーションには様々な物が輸入されている。
同じお店でも1週間もすれば全く別の物が置いてあったりする。
「あんまり使いすぎないようにね」
艦隊勤務の子達にはそれなりの額を支払っているが好きなものを大量に買おうとすれば足りないだろう。
「わかってますよ。そろそろ私達は行きますね」
そう言ってハルカ達の部下は楽しそうに去って行った。
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