第120話
技術者達への罰であるが、全員が親衛隊により医療ポッドの中に放り込まれた。
肉体労働を課す刑罰もあるが、脱走されても困るのでこのような形になった。
医療ポッドに放り込まれた技術者達は体感時間を加速された状態で仮想空間に1人でいる状況となる。
1人で何もない空間にいるというのは本来であれば気が狂ったり廃人になったりとあまり好ましい状況ではない。
だが、この技術者達はこの手の刑罰を受けるのがはじめてではないということだ。
そして、罰であるが罰になっていないという矛盾もある。
誰にも邪魔されないこの環境を利用してとんでも発明を考え罰が終わると同時に試作機を作り出すということを何度も繰り返しているそうだ。
さらに言うなら、体調を整えるのに医療ポッドを平素から利用し加速機能を使っていた節まである。
「俊様。これでは罰になっていませんよ」
「マーチェの言うこともわかるけど、肉体労働させてもこっちに利がないからね」
「それはそうなんですが・・・」
取りあえず、安全に隔離できるならこの方がいい。
それに、罰が終わる頃には迎えの艦隊が来ているはずだ。
問題は全て父であるカールに押し付ければいい。
「それはそうと、作りかけの戦艦はどうします?」
「そうだね・・・。ヴィービルなんとかならないかな?」
「ふむ・・・。知識を貸すことは可能だが、明石の協力がいるな」
ヴィービルは万能戦艦とついているが戦闘艦だ。
工作機能については明石の方が優れている。
「マシターの為に頑張るのです」
「差し当って必要な物は?」
「明石の指示に従う機械人形だな」
「それはすぐに作れる物?」
「私も整備用に機械人形は積んでいる。それをベースに新規で造ることになるから時間は貰うぞ」
正直このドックが塞がるというのは製造面ではマイナスだ。
だが、未完成のこの戦艦を破棄するわけにもいかない。
湯水のように資源を使ったのだ。
何とか完成させて、戦力として組み込む必要がある。
「ヴィービルと明石に任せるよ」
「任されたのです」
「ついでだ。未完成な部分も出来るだけフォローしておこう」
どうやら、色々技術者達が仕込んだようだが、古代文明時代の技術と比べれば未熟な物も多いようだ。
性能面もそうだが、安定度が増すなら問題ないだろう。
「資源の方も融通するように指示を出しておくね」
「仕方ないですね。資源に余裕はあまりありませんが出来る限りのことはしましょう」
俊とマーチェはヴィービルと明石にこの場を任せて仕事に戻った。
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