第119話

意図せず、ヴィービルから古代文明が滅んだ理由を聞いたわけだが・・・。

まず、決めなければならないのは技術者達の処遇だ。

仮にも雇用主であり皇族でもある自分に危害を与えようとしたのだ。

無罪放免というわけにもいかないだろう。

自分が許しても他の面々が納得しないだろう。

とはいえ、問題ばかり起こすが彼等の技術力は本物だ。

「俊様。彼等はどうしますか?」

「そうだね・・・。ここには置いておけないし罰を与えた後は、制御できそうな人に引き取ってもらおうか」

「制御できそうな人ですか?」

「うん。まぁ、父さんならなんとかできるでしょ」

「あぁ・・・。こうなるなら最初から引き取ってもらいたかったですけどね」

というわけで取りあえず父であるカールに連絡を取る。

「父さん。久しぶり」

「やぁやぁ。久しぶりだね。それで、どうしたんだい?」

「技術者達は反乱を起こしましてね・・・。というわけで、罰を受けた後、引き取って頂きたいなと・・・」

「まぁ、そうなるとは思ったけど早かったね」

「わかってたなら最初から連れて帰ってほしかったですね」

「ごめんごめん。でも、彼等を収容してた設備のメンテナンスが必要でね。一時的にどこかに移すしかなかったんだよ」

話によると、技術者達を収容していた設備が老朽化。

修繕したうえで最新の技術を使ってアップデートしていたらしい。

「父さん。1ついいかな?」

「なんだい?」

「相談ぐらいしてくれてもよかったんじゃない?」

「彼等を騙す必要があったからね」

「騙す?」

「物資も使い放題で何の制約もない。そういう新天地だからこそ、こちらの計画がばれなかったんだよ」

確かに、技術者達はやたら浮かれていたような気がする。

1人1人は間違いなく天才と呼ばれる類の人達だ。

下手に察知されれば全力で逃げに走る可能性は否定できない。

「とにかく、こちらで罰を与えた後で送り帰すからね」

「それなら、こちらで艦隊は用意しておくよ。下手な設備だと逃げられそうだからね」

「了解」

「あぁ。それと、近々そちらに大貴族が行くと思うから頑張ってね」

「大貴族?」

「うん。エルフィンド嬢のご両親がね・・・」

それなりの家の生まれだとは薄々気づいてはいたけど、エルフィンドの出身は大貴族らしい。

「ご遠慮いただきたいなぁ・・・」

「それは無理。うちは家格は同格だけど武力で考えたら勝ち目ないから」

マーキュリー家って武力も高いはずなのにそれで勝ち目がないって・・・。

まぁ、にゃんにゃんしてしまったしここは覚悟を決めるしかないか。

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