第106話
「姐さんやだなぁ。姐さんの顔に泥なんて塗るわけないじゃないですか」
「そうそう」
「ならん。貴方達に丁度いい仕事を見繕っておいたわん」
ドリトルさんが男達に仕事を送ると男達は渋い顔をする。
「姐さん。こんな依頼じゃ、いつ返金できるか・・・」
「そうですよ。流石に無理ってもんですぜ」
「何を偉そうに。艦のスペックも把握できていない間はこの仕事で十分よ」
ちなみにドリトルさんが男達に斡旋した仕事は採掘ギルドに所属している人達の護衛依頼だ。
今はまだ宇宙海賊がいないが、いつ現れてもおかしくない。
安全を考えたら、護衛を雇いたい気持ちも理解できる。
ちなみに、現在は採掘された資源は全て俊が買い取っていたりする。
将来的には輸出したいがステーションの開発に惑星開発。
戦力の拡充にといくら資源があっても足りない状況だ。
「こちらとしても受けてくれると嬉しいですね」
「ん~。でもなぁ・・・。収支を考えると採算ぎりぎりですぜ」
「あんた達ねぇ・・・。つべこべ言わずに受けなさい。でないと、融資を打ち切るわよん」
「それは、あんまりだ」
「受ければいいんでしょ。受ければ」
「早速、行ってきなさい」
ドリトルさんがそう言うと男達は手続きの為に、部屋を出ていった。
「ドリトルさん。よかったんですか?」
俊も依頼料を見たが、採算がとれるぎりぎりのラインだ。
戦闘でもあれば、間違いなく赤字である。
「いいのよん。将来的な投資だからねん」
「投資ですか?」
「あの子達が活躍すれば、採掘ギルドの子達や冒険者が集まってくることになるわん。そうすれば、お金を借りて採掘艦や戦闘艦を揃えようとする子も増えるはずよん」
「確かに、その通りですね」
「最悪は奴隷落ち。艦も取り上げれば損はしないものん」
そう言えば、ハルカも奴隷落ちして採掘艦を与えられて仕事をしていたなと思いだす。
「あんまりあくどいことをすると評判を落としますよ?」
「大丈夫よん。ちゃんと働けば返せる計算だものん」
彼等の心配をするなら割の良い仕事を作りだすのが正解かもしれない。
今はマシになったが、物資は不足しているのだ。
さり気なく輸送の護衛依頼などをまわせないかマーチェに相談してみよう。
「それでは僕はいきますね」
ドリトルさんにそう伝えて部屋を後にする。
受付では男達がもう少し依頼料を貰えないか相談していた。
そこは冒険者組合や採掘ギルドの仕事である為、何も言わずに通り過ぎた。
行政府に戻った俊は、マーチェにあったことを話した。
マーチェの話では開発をはじめたばかりの宙域ではよくあるとのことで、各組織に任せた方が上手くいくとのことだった。
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