第103話

俊が目を覚ますと、周囲では女性陣が川の字になって寝ていた。

改めて、自分のしてしまったことを後悔する。

「んっ~・・・。おはよ」

楓が目を覚ましてそう声をかけてくる。

「ごめん・・・」

「私達の方こそごめんね。でも、忙しくて全員揃うタイミングが中々なくってね」

「どういうこと?」

「全員が望んでこういう形になったの」

どうやら全員納得しているらしい。

「はぁ・・・。煮え切らなかった僕も悪いけど、こんな形でよかったの?」

「私は後悔してないよ。他の子達もそうだと思う」

「そっか・・・」

「俊は先にシャワー浴びてきて」

「わかった」

シャワーを浴びつつ俊は考える。

女性陣の気持ちは正直嬉しい。

嬉しいが、これから大変そうでもある。

気持ちを入れ替えて部屋に戻ると女性陣は全員起きていた。

「皆、おはよう」

「おはようございます」

女性陣の顔を見れば平然としている。

「私達もシャワー浴びてきますね」

そう言ってシャワールームに女性陣は消えていった。

シャワールームでは楽し気な声が聞こえる。

全員が納得しているというのは事実なのだろう。

女性陣がシャワーを浴びている間に俊は簡単に部屋を整えた。




全員でホテルを出ると時間は既に昼をまわっている。

このまま食事に向かうことにした。

昨日もお世話になったフレンチレストランに向う。

それぞれ好きなメニューを頼む。

女性陣は楽しく話しながら料理を食べている。

俊としては昨日のこともあり、どう接するべきかあれこれ考える。

「俊さん。硬いですよ。リラックスリラックス」

「と言われても・・・」

「私達は気にしてませんから」

「初心で可愛いといいたいところだけど、俊がその調子だと私達も気にしてしまうだろ」

エルフィンドはそう言ってくる。

俊は深呼吸して平静を装った。

若干まだぎこちないがそこは我慢してもらいたい。

食事を終え、解散という流れになった。

マーチェは仕事に向かうとのことで俊は同行することにした。

「巻き込んでごめんね」

他の女性陣はともかく、マーチェは着てまだ日にちが経っていない。

「あぁ・・・。こちらに来るときに覚悟は決めてましたから」

「えっ?」

「貴族女性が男性の元に向かう。関係を持つのはそう不思議なことではないでしょう?」

「そうなの?」

「貴方は皇族です。子孫を残すのも仕事のうちですよ」

「仕事って・・・」

「勘違いしないでくださいね。嫌ならあの場所に行っていませんよ。少なくとも私は貴方のことを気に入っています」

マーチェはそう言って速足で行ってしまった。

俊は慌ててその後を追いかけるのだった。

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