第87話

エルフィンドの待望の突撃艦部隊が完成した。

銀河帝国艦隊の技術を惜しみなく使い作られた突撃艦の数は100艦だ。

シミュレーターではいい数字を叩き出していたが実戦ではどうなるかわからない。

実績によっては増艦するが今のところは未定である。

「さて、実戦テストしないとね。手頃な宇宙生物の群れはあるかしら?」

そう言って、エルフィンドがデータを確認しはじめた。

「言っておくけど、突撃艦だけでの出撃は認めないからね」

「なら、私が付き合います」

そう言って挙手したのは謹慎明けのハルカである。

ハルカの指揮する艦は改装された高速戦艦を筆頭に改装の終えた各艦で揃えられている。

俊達が保持する戦力の中でもバランスの最も良い戦力だ。

改装が最優先で行われたのはハルカが謹慎中で艦を動かす予定がなかったという理由もあるが・・・。

「私も行こうかしら。新しく配備された戦闘機の能力も見てみたいし」

「楓さんも?それなら、結構、規模の大きい群れでも大丈夫だね」

3人は楽しそうにどこの群れを狩りにいこうか相談している。

「僕も行ったらダメだよね?」

正直、俊としても暇を持て余している。

「責任者はドーンっと構えてないとね」

「そうそう。働くのは私達に任せて」

「お土産に宇宙生物の遺体をいっぱい持ってくるからね」

宇宙生物の遺体は色々利用価値がある。

高性能な艦の材料になるし売ればそれなりのお金になる。

あればあれでありがたいことには違いなかった。

「うん・・・。皆、気をつけていってきてね」

『はーい』

3人は元気に返事をしてそれぞれの艦に乗り換えて宇宙生物の討伐に向かった。



「俊。暇なら少し手伝ってくれないかい?」

そう言って話しかけてきたのは父であるカールだった。

「どうしたの?」

「いや、少しステーションの設備で悩んでいてね。今データを送るから」

送られてきたデータを確認して驚いた。

普通のステーションを造っているのかと思いきや防衛設備が現状で4つもある。

「なんかハーリー星系のステーションと違いすぎない?」

「これでも不安が残るぐらいだよ。ステーションの防衛に常時艦隊を張り付けておくなら別だけどね」

確かに常時艦隊を張り付けていては効率が悪い。

「なるほど・・・。でも、住民はどうするの?」

「開発が終わったら移民を募集することになるね。まぁ、辺境に来たがる人は少ないけど母さんが担当だからね」

母であるアルシェントは人気の皇族だ。

熱狂的なファンなどもいるようなのでどうなるかはわからなかった。

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