第86話
宇宙生物のいる星域に移動し分担して惑星の状況を調査する。
その結果わかったのは中央の惑星が地球の環境に近いということだ。
他にも少し手をくわえれば移住可能である星があることがわかった。
「うんうん。いい星域だね」
父であるカールはそう言って上機嫌だ。
上機嫌ではあるがなんだか隠し事をしているような気がする。
俊は思いきって聞いてみた。
「父さん。なんか隠してない?」
「いや・・・。そんなことは・・・」
「おじ様。嘘が下手なんですから・・・」
「はぁ・・・。実は移住可能性惑星があるのは知ってたんだよ」
「どういうこと?」
「ハーリー星系を開発する時にこの辺も調べてたんだ」
「じゃぁ。調べ損ってこと?」
「いやいや。私が調べたのはもう数十年も前だからね。環境が変わっている可能性もあるから調査は必要なことだったんだよ」
「それだけじゃないよね?」
「まぁ・・・。うん。将来的に自分に子供ができた時、惑星開発をさせる必要があると思ってね。あえてこの辺の星域は残したんだ」
この辺りも資源になるデブリなどが大量にある。
宇宙生物も大量にいるがそれは討伐を繰り返せば駆除が可能だ。
「おじ様って長期的な計画が立てられたんですね」
父であるカールは思いつきで動くことが多い。
何度それに巻き込まれたことか。
幼馴染である楓もその被害者の1人である。
「まぁ・・・。色々巻き込まれたけど最後には楽しかったからね」
「そうね・・・」
「それはそうとこの惑星の名前はどうするんだい?」
「う~ん・・・。何かいい名前ないかな?」
「いきなり言われても・・・」
「命名を任せてくれるならいい案があるんだけどね」
「変な名前じゃなければいいけど」
「そうね」
「なら、この惑星の名前は雪風だ」
「雪風?それって昔の軍艦の名前じゃなかった?」
「そうだね。旧日本帝国海軍の駆逐艦だ。終戦まで唯一生き残った艦でね。幸運艦なんて呼ばれたりしてるんだ」
「まぁ、悪くはないんじゃないかな」
「そうね。おじ様らしいと言えばらしいかしら」
こんなわけで開発される惑星の名前は雪風と決まった。
惑星雪風に環境を整える為の艦が降下していく。
俊達は戦力を整えつつ環境が整うまで防衛のために近くで待機することになる。
近くのデブリ帯で資源を採掘し護衛をつけてハーリー星系のステーションに大型輸送艦を送り、必要な物を買ってきてもらう。
今後のことも考え、ステーションの建設も開始した。
ステーションなど造ったことはないがそこは父であるカールが引き受けてくれた。
色々試しみたいとのとこで楽しそうである。
趣味に走る部分もあるが大事な部分では自制できる人だ。
多分、大丈夫だろう。
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