第88話

「父さん。なんかやたら広いドックがない?」

「あぁ。それは、明石を格納できるようにだね」

「へぇ・・・。でも、明石って工作機構を使えば自前で整備できるよね」

「そうだね」

「じゃぁ。いらないんじゃ?」

「大は小を兼ねるっていうだろう?それに秘密基地みたいでかっこいい」

もっともらしいことを言っているが最後が本音だな。

「まぁ。いいか。今後、巨大な艦を造ったりするかもしれないし」

ステーションには食料プラントに水の生成設備なども盛り込んでいく。

ハーリー星系から必要な物は持ってこれるがある程度は自前で用意できた方がいいだろう。




ステーションは指示を出すと物凄い速さで出来上がっていく。

その理由は父であるカールの連れてきた艦の中に高性能な工作艦が紛れていたからだ。

ステーションだけでなく、地上の建築物も用意できるとのこと。

ステーションの建造がある程度進んだら、地上に降下して住民のインフラ整備にまわすそうだ。

明石ではアカネの指揮している艦の改装中だ。

それが終わったら、シオンとフィーネの指揮する艦を改装することになっている。

工作機の方もフル稼働でステーションに配備する予定の駆逐艦を製造している。

人類の支配する宙域の辺境ということで何かあった際、自衛できるだけの戦力が必要だ。

将来的には他の艦種も用意する予定ではあるが、まずは数を揃えることを目標としている。

それに、駆逐艦というのは多く造っても売り払うことが可能だ。

冒険者や護衛などで必要としている人は結構多かったりする。

民間船を改造して武装している人も多いが、本格的な戦闘艦として駆逐艦を最初に購入するという例は多いのだ。

ただ、売り払った時に怖いのが宇宙海賊に渡ることだ。

売る先は慎重に選ぶ必要があるだろう。

ステーションの建造に資源が凄い勢いで消費されていく。

そこにアカネが大型輸送艦に資源を大量に積んで戻ってきた。

「お疲れ様」

「お疲れ様」

「なんか凄いことになってるね」

「う~ん・・・。父さんの趣味は入ってるけど僕も了承したからね」

「何にせよ。ちゃんとした拠点が出来るのはいいわね」

「そうだね。艦で過ごすのは快適ではあったけど地に足をつけた感じがする」

「明石がおかしいだけだからね」

確かに明石は居住性も考えて造られているが今まで造った艦は居住性はそこまで良くなかった。

それでも、ガチガチの戦闘艦と比べればマシなのだが・・・。

軍艦は一部除き居住性を犠牲にして他の機能に割り振るのが普通とのことだった。

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