中塚透夜の話

 楽しみだなあ。半年くらいでどれだけ変わってるかなあ。

 奏介そうすけはそろそろバイトくらいやってるかもな。

 永太えいたはうまく魚捌けるようになってるかな。

 雅斗は帰ってくるかな。


 僕が楽しみにしていること。それは、半年ぶりの帰省中に親友に会いに行くことだ。


 またみんなで馬鹿やりたいな。そうしたら奏介がまた馬鹿馬鹿しいことすんなよって言いながらも悪巧みできるんだもんな。

 ……でも雅斗がいなかったら、みんな揃ってるわけじゃないのか。


 悪戯の主犯だった親友のことが頭に浮かぶ。

 たとえ彼のことをみんなの前で口に出したとすれば、楽しい時間が台無しになってしまう。


 絶対に雅斗は帰って来る。そうだ。あいつがいったんじゃないか。


「また、みんなで桜見ようぜ」


 みんな待ってるぞ、雅斗。戻ってこいよ。


 お前がいないと僕たちは違う人みたいだ。中学の時みたいな悪戯もできない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る