第19話
会話を始めてすぐ夕実と紅羽は仲良くなっていた。
紅羽の元々人懐っこい性格と夕実も人見知りしない性格でもあるので、仲良くなるのは当然と言えば当然だった。
「お、その卵焼き美味しそう~」
紅羽が夕実の弁当を見ると、夕実は箸で卵焼きを持ち、紅羽の前に出す。
「はい、あ~ん」
「あ~ん、うぅ~ん、美味しい~!!」
紅羽がパクリと食べると、目を輝かせ蕩けたような顔になる。
それを見ていると、思わず食べたくなってくる。
そう思っていると、夕実が弁当をこっちに向ける。
「食べる?」
「ありがとう」
「それは私のだ!!」
「お前のじゃねえよ、さっき食ったろ」
夕実の弁当から卵焼きをもらう。
「……どう?」
「……美味い!!」
卵焼きの中に海苔だろうか。
程よい海苔の塩味が効いていて、シンプルながらおいしかった。
「よかった~」
「夕実ちゃん!!」
紅羽は突然真剣な表情で夕実を見る。
こういう時の彼女は大抵真剣な話ではなくどうでもいいクソどうでもいい事を口走る。
夕実は真剣な表情に緊張したように強張らせる。
「な、何?」
「私の嫁に来てくれないか?」
夕実はそう言われると、「ふふっ」っと口元を抑えて笑う。
「いいよ~、紅羽はいい子だし~」
「やった~!!」
そして夕実はノリがいいのでそれに乗っかり、紅羽は嬉しそうに両手をあげると彼女に抱き着き、夕実の頬にまるでマーキングする猫のようにスリスリしていた。
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