第18話

 階段上がり最上階の扉を開くと、紅羽が僕の方を見て頬を膨らます。


「もう、おっそ~い! むう~」


 彼女の方に近づくなり、怒られる。


「悪いって、それより紹介したい人がいるんだ」


 僕の言葉に彼女は紅羽の前に立つ。

 夕実は彼女の前に立つと、笑顔で紅羽の方を見る。


「初めまして、私は黒井夕実っていうの」


 彼女はそう言うと、紅羽との距離を詰め彼女の事を見定めるような目で見る。


「うん、噂通りいい人そう」


 彼女はそう言うと、一歩下がり紅羽の手を握る。

 紅羽はというと終始戸惑ったように固まって彼女を見ている。


「これから仲良くしてくれると嬉しいな」


 そう言うと、夕実は彼女に握手を求めるように手を出す。

 対する彼女は疑るように夕実を見ている。

 

「?」


 彼女は首を傾げ、優しそうな瞳で見ると恐る恐る紅羽は夕実の手を握る。


「綾辻紅羽、紅羽でいいよ」

「うん、よろしく紅羽……私の事は夕実でいいからね」

「……よろしく」

「急で申し訳ないのだけど、私もご飯一緒してもいいかしら?」

「……構わないよ」

「やった、それじゃ座ろ」

 

 そう言って紅羽の手を握ると、屋上の椅子に彼女と一緒に向かうのだった。


 

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