第17話

「……結局、寝てたら一緒じゃない?」


 授業を終え、爆睡している僕に夕実は肘をつきながら呆れた表情でこちらを見て言ってくる。


「仕方ないじゃないか、眠いものは眠い……」

「ふ~ん、深夜にアニメでも見てたのかな?」


 鋭い……。


「はい、これさっきまでの授業のノート」

「いつもいいのか?」

「仕方ないでしょ、それとも要らない?」

「いえ、欲しいです!!」


 写さなければ、ノート提出の際に困る。

 ただでさえテスト本番がヤバいというのに、ノート点が悪ければもっと厳しいのは間違いない 


「よろしい、はいこれ」

「ありがと、今日も柊さんとご飯?」

「え、うん」

「よかったら、私も行っていい? 柊さんと友達になりたいのだけど」


 正直、紅羽からは誰にも連れてこないという話をしてはいる。

 理由はなんとなく想像がつく。

 紅羽は男子に人気者で、僕が連れてくるのは大抵男友達だと踏んでのことだろう。

 ならば同性は、どうなのだろう?

 ……まぁ大丈夫か。


「だったら、今から行く?」

「うん、行く~」


 彼女はそう言うと、急いで弁当を手に立ち上がり僕と共に紅羽の待つ屋上へ向かうのだった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る