第15話 隣の席のあの子

 紅羽と分かれ、僕は教室に向かう。

 僕と紅羽は教室が違うので昼休みにまたと言って僕らはそれぞれの教室へ向かう。

 僕の教室12組、彼女は1組と教室がずいぶんと離れているので昼休みや互いに用事がないとき以外は基本的に行くことはない。

 まぁ、うるさくなくて済む分には申し分ないのは間違いないが。


「おはよう、正輝」


 教室に入り、席に着くと隣の席の黒髪おさげの眼鏡をかけた少女が挨拶してくる。

 黒井夕実、クラスで隣になり趣味が合う事もありよく話している女の子だ。


「おはよう、夕実さん」

「夕実でいいのに~」


 黒井さん……基、夕実は見ての通りの文学少女だ。

 いつも教室で本を読んでいるような大人しい雰囲気の子である。


「今日は早いな」

「君が遅いんだよ~」


 そう言って彼女はあははっと口元を手で抑えて笑う。

 彼女の机を見ると、教科書とノートが広げられていた。

 彼女は真面目なので、今日も授業の予習を行っているようだ。

 流石は学年トップクラスだ。


「また今日の授業の予習してるのか? 今日やるところだろ?」

「今日やるところだから先にやって、後でわからないことを聞くようにした方が効率がいいと思わない?」


 ……わからん。

 どうせ聞くなら授業の時に聞けばいいと思うのだが、これが学年上位と中間層の差なのだろう。


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