第8話 喜怒哀楽の激しい幼馴染み

「よく眠れた?」


 僕の質問に、恥ずかしそうに頷く。


「よかった、次から夜はちゃんと寝るんだぞ」

「だが、断る!!」


 先程までの静かで可愛らしい寝顔は何処へやら……いつものうるさくてやかましい、いつもの破天荒娘に戻った。


 まぁ、この方が僕も安心するのも事実なんだけど。

 彼女が静かなんて、怒ってるか悩んでいるかの二択なので心配してしまう。

 まぁ、大半が何か怒っているだけなんだけど。


「また、寝不足だったら……肩、貸してね」


 上目づかいで可愛らしく言うが、もうそのあざとさには耐性があるので今となると、少しイラっとするほどである。

 

「そうならないように気をつけろ」

「善処します」

「それ、考えるだけでまた絶対やるやつだろ」

 

 日本人の善処するは大抵善処もくそもない。

 全くやる気がないと言っているようなものだと僕は思っている。

 てへっと舌を出しながら言う彼女に深く溜息を吐く。

 もうあざとい仕草には耐性しかないので、何とも思わないが周りの男性は一喜一憂している。

 彼女の方を見ると、自分のスカートを見ている。


「大丈夫かな、大股開きで寝てなかったかな?」


「まぁ、そこまでなってたら流石に起こすよ」


 起こさんかったら後が怖いし。 

 大股開きで寝ている場合、目の前に男子たちが群がってくるのは目に見えている。

 そうなれば、ついでに僕が女子からの視線で殺されるのは間違いなかった。

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