第6話 理不尽な幼馴染
「わかればよろしい、じゃあ何奢って貰うか考えとくね」
そう言うと、彼女は近くの角に座っていた人が電車を降り席が空いた。
「とりあえず、立ってるの疲れちゃった……座ろ?」
「あぁ」
僕らは空いている席に座る。
電車の中の柔らかクッションが腰の衝撃を和らげてくれる。
「……あ……」
「なんだよ……」
「そういう所だよね君……」
口を尖らせ、避難の目で見てくる
何か悪かったか?
疲れているから、寝やすいように角の席を彼女に譲っただけなのだが。
「何の話だ?」
「ううん……何でもない」
そう言うと、彼女はご機嫌そうに席に座る。
席に着くと、彼女はスマホを取り出しポチポチしていた。
「……ねぇ、今度ここに行かない? 色んなアトラクションあるんだってさ~」
右肩に腕を回し、スマホを見せてくる。
その時に、彼女の小さくも柔らかい感触が肩に当たる。
自然のボディータッチというのは男子を勘違いさせてしまうので、やめてくれませんかね?
僕でなかったら、ほれてたよ?
「う~ん、人が多いしな~」
普通の男なら絶対OKって言いたい可愛さだが、大の人込みが苦手な人種なので無理というほかない。
「……行きたいなぁ~」
チラチラっと更にあざとい仕草を送ってくる。
「人混み苦……」
「うん、知ってる」
苦手って言い終わる前に言い放ちやがった。
「なら何故誘う」
「い・き・た・い・な?」
「人混みは苦手だ」
「行きたいな~?」
最後に笑顔で圧の籠った「行きたいな?」が放たれた。
「あざとい仕草で低い声、やめていただけませんかね?」
声と表情仕草があってないのよな。
笑顔で低い声って、どこの腹黒キャラって感じの言い方だ。
「じゃあ朝9時に駅前集合ね」
「……拒否権は?」
「……わかってるよね?」
権力振りかざすのやめてもらえませんかね?
貴方に決める権利はないのと言った感じで言う彼女は理不尽という他ない。
「もしかして、予定あった?」
「……あ~」
「その顔はないね」
予定の理由を考えていると、彼女はジト目をしながらこっちを見てきた。
彼女は僕以外には思いやりがあり、優しい。
普段、彼女は優しく、時に厳しいが相手の事を思ってやる優しい人間と学校ではいわれている。
二重人格だよな~……いや、三重人格……ん、わからん!!
強引に彼女は押し切られる形で今週の土曜は彼女のご機嫌取りという休日出勤が確定したのだった。
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