第4話 悪戯好きな幼馴染
紅羽が僕の手を握り、引っ張ってくる。
彼女はこういうことをさらっとするのだ。
昔なんて普通に繋いでいたのに、どうしてこんな……。
子供の頃は仲良く一緒に手を繋いで仲良く帰っていたのに、今ではどうしてか緊張してしまう。
パンツや下着が見えても何にも感じないのに感触だけはまだどうしてもドキドキしてしまう。
電車に入ると、不思議そうな顔をして僕を見てくる。
「何ボーっとしてるの?」
「いや、何でもない」
「あぁ、そういう事……」
「なんだよ……」
僕が目を背けると、その要因となった手を繋いでいる所を見ると何かを察して、握っている手を僕に近づけながら悪戯っぽい顔で距離を詰めてくる。
「可愛いじゃん」
グイっと顔を近づけ、耳元で囁かれた。
ドキッとしてしまった。
顔に熱を感じる。
風邪とかではなく、恥ずかしさがこみあげてくる感じだ。
「耳元で囁かれて、ドキッとした?」
彼女は「ふふっ」と笑うと彼女は僕の顔を覗き込む。
だからあざといんだって。
ばれないように握られている右手と反対の鞄を持っている手で顔を隠す。
こいつはこういう奴だ、幼馴染だからってこういう悪戯顔でからかってくるのだ。
「からかうなよ……」
「思春期だもんね、わかるよ~」
「うんうん」と納得したように頷く彼女。
なんか腹立つな。
「そうかそうか、私が手を握っただけでドキッとしちゃうよね」
「そんなことないよ」
もっと過激なパンツ見えてるけどね。
そう思ったが、それを言うとろくなことにならないので口を噤む。
「こういう展開のラノベってあるじゃない?」
「お前は適用外だ」
「そんなこと言って耳、真っ赤だよ?」
「気のせいだろ」
「いやいや、真っ赤も真っ赤まるで茹で蛸だ」
照れてないと言ったら嘘になる。
正直言って紅羽は可愛い、学校だけでなく他校からも噂になる程の美少女なのだ。
そんな彼女に囁かれたら男なら誰だってそうなる。
ならなんでパンツ見てドキッとしないかって?
彼女の無防備なせいで幾度となく子供パンツを見てきたら、見慣れて何とも思わなくなるだろ?
それに、それよりもっと過激な動画をみているせいで下着如きでは興奮しないのもあるのかもしれない。
「照れなくていいのに~」
まぁ、とにかくこいつのペースに飲まれたらからかわれ続けるので、何とか打開しなければ。
彼女は悪戯っぽい口調で僕を見てくる。
こういう小悪魔的な顔をするのズルいと思う。
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