第3話 オタ活とアルバイト
「今日も放課後空いてるよね?」
「んや、今日はバイトの予定」
「今日もいつもの……は? バイト? 今日は定シフトじゃないでしょ?」
「あぁ、人が足らないから入ってって言われたんだよ」
「私との約束はどうなるのよ!!」
約束って今日初耳なんだが?
当たり前のように予定が一緒と思わないでほしい。
そう言ったところで、彼女の予定では今日いつも通りアニメ専門店かパフェ巡り、ショッピングのセットだ。
「私なら入らないけどなぁ~、オタ活に支障が出るし。 仕方ない、じゃあ私もバイト入れよっかな」
彼女のバイトはメイド喫茶だ。
しかも、バイト中は顔がばれないようにカツラをかぶり、キャラも作っているので学校の奴が来ても全くバレなかったほどのキャラのなりきりだった。
彼女のシフトが自由なのも人気で、彼女が入った日は売り上げが二倍近くなると言っていたから一種のイベント的な役割になっているのだ。
それに加え、学校での彼女もバレない原因の一つだ。
今でこそこんな感じだが、学校では文武両道才色兼備の優等生と評されている。
実際のこいつを知ったら、皆自分の頭を壁に打ち付けるのではないだろうか。
それ程までに学校では猫を被っている。
「今、何か失礼なこと考えてなかった?」
「いや、別に?」
「それならよし
「ほんと、紅羽って僕といるときや学校、バイト先でも全然違うよな」
「あ~、私の
嬉しい? っといった感じであざとく見つめてくる。
本当に見た目は完璧だよな。
「久しぶりに、お前のメイド姿がみたいな~」
ニヤニヤしている彼女に嫌がらせにそう言ってみると、心底嫌そうな顔でその界隈の人なら喜びそうな目を向けてくる。
「嫌だよ、知り合いに見られるの恥ずかしいし、それにオタ活する為に君のシフトに合わせてるんだよ?」
「そんなことしなくても一人で行けばいいのでは?」
「こんな美少女が一人でうろついてたらナンパか強引に連れてかれちゃうよ~」
自分で言うか……っていうかおよよっという奴、
「そうだね~」
「あ~! 流した~!」
「そりゃまぁ突っ込むの面倒だし」
「面倒くさいって……うがぁ~!」
「お前はモンスターか!」
「怪獣クレゴンだぁ~!」
そう言って僕に抱き着いてくると、腰回りに柔らかい感触がする。
見た目はあれでも、彼女は女の子だ……感触に少しドキッとしてしまう。
「は、離れろよ!!」
「ガルルル」
「犬か貴様は!! 頼む、離れてくれ!!」
僕の観念した声が届いたのか、彼女は離れる。
まだ腰に感触が残って……いかん……。
抑えろ、僕のテント……。
「もう駅ついちゃったか、早いなぁ~……残念、オタ話はここまでか~
「学校でも話せばいいのに」
何故そこまで隠すのか意味が解らん……彼女は人気なのだから、別に属性が一つ増えた所で変わらん気がするが……。
「話せるわけないじゃん!! 学校で私がオタクってこと知ってるのは君だけなんだから!!」
なんというか、面倒くさい奴だな……。
そう言って、プイっとソッポを向く彼女なのだった。
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