第2話 幼馴染は鬼畜

「いや、普通に不法侵入だからな?」

「え、でも君枝さんに弱み握りたいからって言ったら、通してくれたよ?」


 母さんなんてことを!!

 わが母ながら、息子の弱点を晒すなんて何考えてるんだ。

 っというか親に秘蔵コレクションを知られていた事を知り、更に恥ずかしさがました。

 

 わが母君枝は、紅羽に甘い……昔から紅羽を娘のように可愛がっており、両親とも彼女に甘いのだ。

 

「だからってそれは流石に人として駄目だろ」

「うんだから、君枝さんに相談したらどんどん弱みを握れって応援されたよ?」


 もう、何も言えなかった。

 僕のプライバシー権は母によって紅羽に移譲され、四方八方敵だらけになってしまった。

 そんなに弱みを握らせてどうするつもりだ。

  

「まぁ、そんなことは置いといて……昨日のアニメ面白かったね~」


 置いとくなよ、僕のプライバシーという最終防衛ラインだぞ?

 いわばレッドライン……これを突破されれば僕の核はさらし物だ。


「置いとくなよ、そこ一番重要だろ」 

「男の子なんだから薄い本の一つや二つ仕方ないよ」

「その言い方やめてくれ」

「まぁまぁ、それより昨日のアニメ面白かったよね~」

「まぁ面白かったけども……」

 

 僕の言葉に彼女は目を細くする。

 しまった。

 昨日電話を無視してた事、完全に僕の秘蔵本の件で忘れていた。 


「昨日見てたなら、何故返信しなかった?」

「………」

「黙ってないで何とか言い給え」


 昨日終わりになんか電話来ていたが、夜だし何よりこいつの深夜テンションはマジでやばいので無視したとは言えない。

 っというか近い……。

 彼女は顔を近づけてくる。


「あのアニメについて語りたかったのに! もう!」

「すまん、携帯ポケットに入れたの気が付かなかった」

 

 地団駄を踏む彼女にそう言うと、彼女は不機嫌そうにこっちを見てきた。

 まぁ、嘘なんだけど。

 正直、携帯を見た瞬間画面を机につけて無視したが、本当のことを言うと余計に面倒だから黙っておく。


「何してんのも~!!」

「ごめんて」


 僕は謝るが、彼女は機嫌を直してくれない。

 そうして歩いていると、コンビニに着く。


「昼飯買いに行っていいか?」

「……好きにすれば」

 

 仕方ない、ここは彼女の機嫌を取るか。

 

「何かいるか?」

「……」


 僕の問いに彼女は無言のまま、プリンを入れる。

 そうして会計を済ませると、彼女にそれを渡す。

 

「ほい、これ」

「……ありがと」


 そう言うと、彼女はプリンを食べるのだった。


 

 

 

 


 

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