最終話 佐伯四姉弟

夏休み明けに登校すると僕は散々問い詰められる。

その一つ一つに応えて正直に事実だけを話した。

「父が三姉妹の母親と再婚して」

その話をするとやはりと言うべきか僕は男子から嫉妬の視線を浴びることになる。

隣の席の白井円は僕に救いの手を差し出すようにチャットを送ってきた。

「誰か恋人作ったら嫉妬されないで済むんじゃない?」

その内容を見て僕は逆効果だと感じた。

家では三姉妹と一緒に過ごし、それに加えて別に恋人がいる。

そんな誰が見ても羨ましいほどに充実した人間に何が起こるかは火を見るより明らかだ。

「遠慮しとくよ。三姉妹だけでも僕の手には余るから」

「そう…残念ね」

白井円は意味深なチャットを送ってきたが僕は何も気付かないふりを続ける。

夏休み明け一発目の登校日も終わり迎えると僕は再び詰問されるのを恐れて逃げるように校舎を抜けていく。

だがそれも逆効果だったかもしれない。

校内でもっと時間を潰せばよかったと少しだけ後悔する。

もちろん校門まで三姉妹が僕を迎えに来ていたからだ。

「紅郎!帰ろ〜」

「早くしなさいよ」

「お兄ちゃん!帰って遊ぼ〜」

三者三様の言葉に頷くと僕はこれからこの三姉妹と曖昧な姉弟関係をいつまでも続けるのであった。


ある日、突然出来た義理の三姉妹。

僕はこの街一番のラッキーボーイと呼ばれるようになり、佐伯四姉弟は複雑な関係性にあると何処でももっぱらな噂になるのであった。

                  完

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ある日、街で有名な美人三姉妹が突然義理の兄妹になった。ぎこちなくも徐々に関係が進んでいく僕ら四兄妹の話 ALC @AliceCarp

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