第22話
「それじゃあ、早速お願い出来るかな?」
「えぇ、それが条件ですからね。」
ウスとクドゥスは二人だけで機密性のあるレストランの個室に来ていた。
他国からもその秘匿性と味の良さからお忍びで要人も来ると言われているレストランである。
そんな所で二人はウスが出した条件を満たす為に来ていた。
「それにしても部屋ね。自然な香りが満ちていて落ち着くわ。」
「このレストランアナザーが他国にも人気な理由の一つさ。」
アナザーの売りが種族に合わせた癒し空間となっている個室も他国の要人に人気な理由となっていた。
ウスが選んだのもクドゥスのコンディションを上げる為である。
女王らしい不屈の忍耐と精神力を持っているとはいえ、離れ離れとなっていた姉との再開に締結されたアマゾネスに有利な不平等確定な条約でストレスと感情の渦には流石のクドゥスも参っていた。
そんな機微に気がついていたウスの気遣いでもあった。
「それで私に何を教えて欲しいの?」
「私の秘密を知っている貴方には私の野望の為に強くして欲しい。それだけです。」
今でも十分強いでしょうと思いながら貪欲な強さへの欲求はアマゾネスらしいとクドゥスは思っていた。
それに自身の待遇もかなり良くしてくれている為、鍛えるという提案を受けても良いと思っていた。
それにアマゾネスは師弟を大切にすることも知っていた。
エルフの園(エルフ余生場)を豊かにする事も出来るだろうと思ったのである。こうして、外食を出来ているのもかなりの高待遇なのである。
「でも、鍛えるにしても基礎スペックが全種族でも最高クラス、貴方達に真っ向勝負で戦えるなんて竜族くらいじゃないの?」
こんなチートスペックな上に真っ向勝負以外も力づくで強制真っ向勝負にするという強引さである。
やっぱりさっさと白旗揚げて正解だったなとクドゥスは納得していた。
そもそも戦争するなよというツッコミが聞こえて来そうだが、そうもいかない理由があるのである。
「平均的にはね。私は全人類でも最高水準の力が欲しいんだ。最低でも貴方と一対一で倒せるくらいには強くなりたい。」
「確かに私に勝てない程度だと人類最高峰。化け物中の化け物の領域には辿り着けないわね。」
自分ですら指一本しか入れていない領域なため、ウスの分析は当たっていると感心していた。
因みにこのアマゾネスの国にはその領域にどっぷり全身浴している化け物が何人もいるのである。
世界一の軍事大国の名は伊達ではないのである。
「貴方に教えて欲しいのは魔法の質向上です。」
「質の向上と言ってもウス様は外に出す魔法は不得意どころか、身体強化みたいな体内魔法でも実践レベルな物も少ないでしょう。」
それに身体強化系はアマゾネスの方が発展しているだろうとクドゥスは知っているため、自身に教えを乞わなくても良くないか?と思ったのである。
「そんな事は百も承知ですよ。私が教えて欲しいのはエルフの秘薬です。」
「・・・・・・・・・本気?何処で知ったのかは聞かないけど、あれは確かに魔法の質を上げてくれるけど副作用も酷いものよ。少なくても私は2度とゴメンだわ。」
エルフの秘薬とは王族の伝聞でしか伝わっていないドーピング剤である。
魔法の質を上がるとともにより強い魔法に耐えれる肉体に強化してくれる薬だけど、その副作用は世界一と言っても良いくらいの最悪レベルである。
「それでも私達、アマゾネスなら大丈夫ですよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます