第16話

「かなりの数ね。」


「態々、殺されによく来るね〜」


「ノロ。そんな言い方は悪いわ。あっちは勝つつもりで来ているのよ。」


 お嬢様三人組は砦の上で森の中を進軍しているエルフ達を見ていた。

 都市国家レベルの人口なのによく集めたなと感心するほどの軍団だった。


「それにしても負け犬集団が一斉に攻めてくるなんて、今回は滅ぼして良いのよね。」


「はっ!女王様より殲滅の許可は出ています!!ただ、優秀な人材は取り込む為、生け取りだそうです!!」


「まぁ、そうよね。」


「アリセシア様、準備が整いました。」


 兵士と今回の防衛の命令を聞いているアリセシアにウスは迎え撃つ準備が出来たと報告に来た。

 砦に駐在している兵士の他に学園の一年組も整列していた。

 東西南北に攻められているアマスは学園生の戦闘経験と選別にちょうど良いとして学年別に砦に向かわせたのである。

 この東のエルフと接している砦では一年組が動員された。大将もアリセシアが務めて指揮する実践形式の訓練をしていた。


「それでは開戦と行こうではないか。」


 アリセシアは静かに出陣を宣言すると砦の門が開かれた。

 アマゾネスの防衛は砦に引き篭もって耐久と攻めを繰り返すものではなかった。

 砦はあくまでも補給と治療の為の帰ってくる場所であって引き篭もる場所ではないのだ。

 攻めに攻めていく。

 それがアマゾネスの防衛だった。


「「「「シャッハーーーー!!!」」」」


「・・・・あの明らかに蛮族見たいな掛け声やめにしない。」


 ヤマはあのアマゾネス伝統の掛け声が好きではなかった。

 もう少し知能的なものはないのかと考えているのである。

 そんな事を言っている間に双方死者を出しながらアマゾネス有利に戦場は進んでいた。

 エルフは弓と魔法で距離と取りながら樹木などを使った罠でアマゾネスを仕留めていた。

 だが、仕留めれているのは男だけだった。

 女のアマゾネスは傷は負っても軽傷のものしかいなかった。

 アマゾネスは投石などをしながら己の得物で矢と魔法を落としてはエルフに近づいて殺していっていた。


「それにしてもウス君は当たり前だけど確実に撃破数を上げているわね。」


 マリアは女の兵士と混じって大人と同等の撃破数を稼いでいるウスに感心していた。

 アリセシアはあれくらいは当然とお茶を飲みながら戦場を眺めていた。


「ウズウズしているのならノロも参戦したらいいわよ。」


「いや、今回は一応副将としているんだ。それに他の人達の手柄を分けてあげないとね。」


 自分達が出て行ったら他人が活躍する場を奪う事になる為、アリセシア達とその従者は原則として他の者が対処が難しいと判断される強者が出るまで待機と作戦立案が仕事となっていた。

 ウスが戦場にいるのはアリセシアの従者としての実力を周知される為のものだった。

 だから、ヤマ達はノロ達と一緒に観戦しているのだ。


「それにしても暇ね。それなりな強者がいるかと思ったけど、あそこにはウスもいるし、私達の出番はないかも知れないわね。」


「あら?」


 欠伸をして退屈そうにアリセシア達はしていると森の奥から砦に向かって光が降り注いだ。


「はぁ、はぁ、これで・・・」


「残念ですが、貴方の攻撃は無駄でしたよ。」


「えっ・・」


 さっき魔法を打った女エルフの背後に回っていたウスは一撃で気絶させると負傷兵を運んでいる兵士にこれも運ぶように指示をして新たな獲物に向かっていった。


「防御したのに少し焦げたわね。」


「マリアの防御魔法を少しとは言っても貫くなんて中々な威力ね。」


「やっと歯応えがありそうな獲物が出てきたね。僕もそろそろ出番かな。」


 出陣前にジャンケンで決めた順番で最初にノロ達、次にマリア達、最後にアリセシアとなっていた。

 さっきの砦への攻撃は魔法が得意なエルフの中でも優秀な者の攻撃である事が魔法に込められた量と質から分かった。


「ヤマ!準備は出来てるね!行くよ!」


「ハッ!エルフ達にアマゾネスの恐ろしさを骨の髄まで刻み込んでやりましょう。」

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